総合インターンシップ戦略から採用を成功させる 人事担当者必見ノウハウ
今日、6~7割の企業が何らかの形で学生インターンシップを実施しており、それが早期内定決定に大きく寄与しているという。しかし、その一方で、手間がかかる割には採用につながらないなど、そこには課題も数多く浮上している。そうした中、Beyond Cafe 代表取締役CEO 杉岡侑也氏は学生限定会員制カフェBeyond Cafeを運営し、「世界で一番人事と会えるカフェ」と称して、イベントやインターンシップ紹介などで企業と学生のマッチング機会を提供している。 インターンシップ戦略から採用を成功させるノウハウとは。
Terrace/ Beyond Cafe 代表取締役 CEO杉岡侑也氏
「本来のインターンシップ」と「日本版インターンシップ」
──ご自身とBeyond Cafeについてご紹介ください。
杉岡氏:私は、人の可能性を無限大であることを証明する。という理念のもと、24歳のときに会社を立ち上げました。
少し過去の話をすると、私は高校を出てすぐ社会に出ました。それがリーマンショック明けの日本で、求職者はいっぱいいるのに、求人はとても少ない。東大、京大を卒業した人でも仕事を得るのに苦労していた時期でした。 高卒者にはそもそも求人・求職サイトに登録することすらできなくて、「なんて未来がない人間なんだろう」と絶望しながら、社会人人生をスタートしました。
ところが、あるベンチャー企業に縁があって入社して、そこの社長に言われたことがきっかけで人生が好転します。「営業なら売り上げ、人事なら制度づくり、経営者なら会社を守って成長させること、そうしたことをできれば、学歴や経験は関係ない」と。それを聞いて、「自分は何だってできるんだ」と思えました。自分のことを信じて、努力して、それが結果につながったら周りが評価してくれる、と思えるようになりました。
そして、ふと後ろを振り返ってみると、私みたいにきっかけがないからチャンスに出会えないと思っている人がいっぱいいました。そういう人たちに「そんなことはないよ」と言ってあげられる第一人者になりたいと思って、会社を作りました。
今会社では、若者が”自分の本質的な価値”に出会い、それに基づきたてられた目標を達成するために働く場所を選ぶ。そのきっかけを提供すべく、エッジを効かせたイベントコンテンツの作っています。インターンシップに関連したイベントを含め、年回200回以上開催しています。半分くらいは学生への啓蒙活動ですね。
──インターンシップに関連したイベントをしているとのことですが、そもそもインターンシップの定義とは何なのでしょうか。
杉岡氏:これは米国から始まった雇用形態で、一言でいえば「有給の有期雇用」です。新卒・既卒の区別はなく、働くことを通してその求職者にポテンシャルがあるか、企業風土に合っているかを見るものです。その後、採用につなげるため、採用時にミスマッチが少ない採用方法として導入されています。
GoogleやFacebookなどトップIT企業のインターンシップは高給で有名です。月給にして60~70万円、100万円ということもあります。16~17歳の学生でですよ。ただ、有給か無給かというのは副次的な話で、こうした企業は人気があるので、無給でも応募者ゼロということにはならないでしょう。
──つまり、インターンシップは研修・実習期間のようなものですね。一方、現在の日本企業が実施しているインターンシップはどうでしょうか。
杉岡氏:現状は、ほぼ新卒学生が対象で、研修・実習以外の意味を持つケースがあります。分類すると長期実践型、体験型、ワークショップ型、選考直結型などがあります。
究極的には、長期実践型という労働力寄りのインターシップと、選考直結型という採用寄りのインターシップ、この2つに収れんされます。長期実践型というのは、インターンシップという名称で雇用するアルバイトです。
いずれにしても米国に習って、インターンシップを通じてミスマッチを減らす流れになっていると思います。
インターンシップの報酬を「払えない」のか? 「払わない」のか?
──文部科学省発表の「平成27年度 大学等におけるインターンシップ実施状況について」という資料によると、大学生のインターンシップの93.3%が報酬なしとなっています。報酬なしというのは、学生によっては難しい場合もあるのではないでしょうか。
杉岡氏:そもそも無給が困る、というのであればそのインターンシップに行かなければいいでしょう。
「苦学生はインターンシップにも参加できないのか」と言う人もいるかもしれませんが、私はその考え方は少し違うと思います。
無給のインターンシップで困るとしても、やれることはいくらでもあります。「これでは生活できないので報酬を出してください」と企業に交渉してみるのも一つの手だし、無給のインターンシップに頼らなくても、知恵を絞って志望の企業に近づく方法を考え出せばいいと思います。 働く環境は自分が選ぶものなので。
──企業側は、インターンシップの報酬を「払えない」のでしょうか? 「払わない」のでしょうか? 本来はどうあるべきだと思われますか?
杉岡氏:報酬については、人事部の予算であることがほとんどなので、どういう学生を集めようとしているかで決まります。他社と学生を取り合っている状況なのであれば、彼らの活動状況や競合他社の動きをしっかり調査して、インターンシップで給料を出すのか、交通費は補助するのかなど、相応の相場感を持つべきではないかと思います。
選考解禁時点で内定率6割、採用で他社より前に出る方法は?
── リクナビによると、選考解禁の2017年6月1日時点で2018年卒学生の就職志望者内定率が61.9%とのことでした。解禁と同時に6割決まっているということは、事前に企業と学生の接触があったということではないでしょうか。インターンシップはこの結果に何らかの役割を果たしているのでしょうか。
杉岡氏:非常に大きな役割を果たしていると思います。企業の70%以上がインターンシップを実施しているとする統計もあります。
企業側としては、6月までに何かしらの形で採用に向けた活動を行う必要があるので、それがインターンシップという形になって表れているのでしょう。それもだんだん実施時期が早くなっています。そもそも若年人口が減少していますから、早く動かないといい人材を他社に取られてしまう、と企業側には危機感があります。
──現状のインターンシップに問題点があるとしたらそれは何でしょうか。
杉岡氏:企業側の問題点としては、インターンシップを実施しているのに採用で結果につながらない、ということでしょう。インターンシップを実施する企業が増えていることもあり、今はインターンシップを行えば必ず採用に成功する、という単純な構図ではなくなっています。
── 改善すべき点はどこにあるのでしょうか。
杉岡氏:しっかり調査したり、戦略を立てない人事担当者が意外に多いということです。インターンシップを成功させたければ、学生にどういうことを求めて来たのか、目的は何なのか、直接話を聞いて、それを酌んであげればいい。
しかし、それをしないで自分たちの考えたとおりのことを実行するだけで満足しているケースが結構あります。採用活動は営業活動と同じだと思うんですよね。製品を買ってもらおうとするときに行う、顧客目線での俯瞰的な分析を人事という観点で行うべきなのに、自社のことしかわかっていない。このようなニーズを無視したインターンシップを続けていると、いつまでも求める人材は獲得できないと思います。
インターンシップのKPIはこうして決める
──逆に、どのようにすればインターンシップで成功できるのでしょうか。具体的な成功事例はありますか。
杉岡氏:成功パターンはいくつかあると思いますが、一例としてはサイバーエージェントグループのケースがあります。同グループは、インターンシップでの労働を通じて学生のエンゲージメントを上げることに最大の努力を払っているんです。採用を前面に出すのではなく。結果的に、学生は同グループに好印象を持ち、「入社したい!」となって採用に成功しています。うまいな、と思います。
──インターンシップを行わない方がいい企業、というのもあるでしょうか。
杉岡氏:長期実践型インターンシップに関していえば、大手企業は行わなくてもいいと思います。これは前にも述べたように、実態はアルバイトで労働力を獲得するものなので、大手企業がわざわざ未熟な学生を労働力化しなくても、通常の非正規雇用で十分カバーできますから。 ただ、採用目的で行うのであれば、しっかり練りこんで、現場の社員も連れ出して本気で挑戦するべきだと思います。
──インターンシップを実施する際のKPIの決め方や、成功・失敗の判断の仕方があれば教えてください。
まずはタスクを設定して、「タスクを遂行できたか」を考えることが第一歩杉岡氏:これは難しい話です。まずは、インターンシップ経路から採用する人数を決めて、それだけ採用するために必要な母集団を設定しなければなりません。また、その母集団にはどのようにアプローチして、何を体験させて、彼らが思っていることを聞き出すのに誰を当てて、どのように選考を進めていくか、そうしたことを決定して初めてタスクが生まれます。まずはそのタスクを遂行したかどうかで成功・失敗を判断する必要があるでしょう。
ただ、これは非常に大変なので、来てほしい人材に関して適切なペルソナを設定して、候補者を集め、その人たちに向けた活動をきちんとやれたかどうか、で判断すると現場はやりやすいと思います。
──最後に、人事担当者やマネージャー層など、人材獲得に取り組んでいる企業の方々にメッセージをお願いいたします。
杉岡氏:当社は、ポテンシャル採用といってるんですが、18~26歳までの、ポテンシャルおよびエンゲージメントの高い人材の採用に関するプロフェッショナルでありたいと考えています。18~22歳の第0新卒、新卒、第2新卒、そうした世代をまるっとひっくるめて、いい人材を発掘してきます。そういうポテンシャル採用をする企業にとっての最高のパートナーでありたいですね。