大和ハウス、新卒採用が握る成長戦略の成否

総合大和ハウス、新卒採用が握る成長戦略の成否

大和ハウス工業が新卒採用に力を入れている。今年は学生にとっての魅力を高める対策を打ち、目標とする内定者数を確保した。「プレミアムフライデー」を積極導入するなど働き方改革にも取り組んでいる。採用活動に懸命なのは人手不足により就職戦線が売り手市場になっているためだけではない。優秀な人材の確保が成長戦略には欠かせないためだ。

大和ハウスではプレミアムフライデーの取り組みが定着している

大和ハウスではプレミアムフライデーの取り組みが定着している

大和ハウスの採用チームは8月に人心地がついた。2018年4月入社予定の新卒者880人を確保できたからだ。昨年はこの時期、計画通りに人が集まらず、お盆休みどころではなかったという。

今回の採用活動では「あらゆる対策を打った」(人事部)。まず、採用試験でいったん不合格となっても、本人が望むなら再度面接を受けられる「再チャレンジ」制度を導入。228人が利用し、24人が内定へとこぎ着けた。

学生の親を対象にした会社説明会も東京と大阪で開いた。両親を通じて学生にアピールする試みは「かなりの手応えがあった」(人事部)という。新入社員が初任地を指定できる制度も導入した。

採用に力を入れる背景には、事業規模の拡大に優秀な人材が欠かせないとの危機感がある。同社が戸建て住宅で成長したのはもはや昔の話。今では戸建て住宅の営業利益(17年3月期)は192億円と全体の6%。賃貸住宅、商業施設、事業施設の3本柱で営業利益の約8割を稼ぐ。中期経営計画でもこうした事業がけん引役となる。

これらの成長分野は土地活用の提案が肝。例えば、コンビニエンスストアや物流拠点の戦略をもとに土地オーナーに賃貸施設を建てる提案を持ち込み、建設の請負で利益の多くを稼ぐ。富裕層の相続対策で関心の高い賃貸アパートも同様だ。戸建て住宅に比べ、営業担当者の提案力が物を言う。

一方で建設業は今でも「仕事が厳しい業界というイメージが根強い」(大野直竹社長)。同社は激しい仕事ぶりからかつて「不夜城」「モーレツ」と形容された。イメージを刷新しないと優秀な社員を獲得するのは難しい。偶数月の最終金曜日の午後を有給休暇にするなど「プレミアムフライデー」への積極的な対応や、社員の資格取得の支援などに取り組むのも、人材を手放さない策だ。

大和ハウスは18年3月期に連結純利益が2100億円(前期比4%増)と2期連続で最高益を更新する見通し。四半期の受注高も前年を上回るペースで推移するなど好調が続く。野村証券の福島大輔氏は「今の大和ハウスは柔軟さとスピード感がある」と評価する。

株価も年初から上昇基調で、上昇率は16%とライバルに比べて高い。「2~3年は業績の堅調な伸びが期待できる」(SMBC日興証券の川嶋宏樹氏)など先行きへの期待感は強い。

一方で人材を確保する施策には始まって間もないものも多い。「業容の急拡大に人員が追いつかないリスクはある」(野村証券の福島氏)。市場の期待を裏切らないためには人材の確保や育成策で結果を出し続けることが前提になる。