総合「パラレルキャリア」広がる 自分らしい生き方模索、複数の仕事や社会活動
複数の仕事を掛け持ちしたり社外で社会活動を行ったりする「パラレルキャリア」志向が、若者を中心に広がっている。やりたいことに打ち込む人、仕事のスキルを生かして社会活動をする人、時間に縛られない働き方を選ぶ人…。政府が普及促進に乗り出した副業に注目が集まるが、本業や副業にとらわれずに生きる道を模索している。
広報とダンス
7月下旬、金曜日の午後。人材派遣会社「ビースタイル」(東京)の広報担当者、柴田菜々子さん(27)は、東京都内で間近に迫ったダンス公演の練習に励んでいた。柴田さんはプロのダンスグループのメンバーでもある。パートを反復して動きを合わせる。週4日、1日平均7時間は踊る。

会社で仕事をする柴田菜々子さん=東京都内
広報の仕事は週3日。平成25年にフルタイム正社員として入社したが、仕事が忙しく、ダンスに専念しようと一度は辞職を決意した。だが社長の助言で「週3日勤務なら両立できる」と気付き、27年から契約社員となり、今の勤務に変わった。
業務目標は週5日勤務の時と変えていない。仕事の優先順位を明確にし、周囲の協力も得て目標を達成。社内表彰もされた。収入は減ったが「幸福度が上がった」。上司も「集中力が高くなり、後輩にも良い刺激を与えている」と評価する。
同社は今後正社員も週3日勤務などができる制度を創設する予定。担当者は「正社員は会社の理念やビジョンを共有する基幹人材。柔軟に働ける態勢を整えたい」と話す。
家族との時間
パラレルキャリアを実践する人の目的はさまざまだ。東京都の田中成幸さん(35)は家族との時間を持ちたかった。4月に大手シンクタンクを退職。現在は個人コンサルタント、コンサルタント会社嘱託職員、NPO法人嘱託職員の3足のわらじを履く。
前職は激務で長時間労働が当たり前。共働きで幼い子供を育てるのに限界を感じた。経済的な不安もあったが収入はあまり下がらず、時間を自由に使えるようになった。
仕事の切り替えに時間がかかるのが課題だが、見識を広める余裕ができ、新たな仕事の獲得にもつながっている。
ボランティアも
仕事のスキルを生かしたボランティアも人気だ。希望者と非営利団体をつなぐネット上のサイトを運営する「ソーシャルマーケティングジャパン」代表の玄道優子さん(34)によると、大半が会社勤めの正社員で、増加傾向にある。
「外の文化に触れて相乗効果が生まれ、本業が好調になる人も多い」。運営にかかわる会社員の久保田光就さん(31)は「ボランティアでの経験が仕事に生きている」と感じている。
パラレルキャリアを推奨する立教大社会学部の萩原なつ子教授は「終身雇用が崩れ、複数の足場を持つことはリスク管理になる」と意義を強調。「やりたいことの軸がぶれないようにすることが大事」とアドバイスする。「退職後も復帰できる仕組みを作るなど、企業や行政も巻き込んで複数のキャリアを積める環境を整える必要がある」と語った。