総合ホテル、ITで人手補う HISは「ロボが接客」外販
人手不足が続く中、ホテル各社がIT(情報技術)などを使って、効率的な運営に取り組む動きが広がっている。エイチ・アイ・エス(HIS)グループは自社のホテルで培った少人数運営のノウハウを外販、藤田観光は一部の自動チェックイン機について、訪日外国人(インバウンド)客も利用できるようにした。訪日客の一段の増加が見込まれる中、コスト増を防ぐとともに従業員の負担を軽減する。
HISグループはロボットを使って省人化したホテルを長崎県と千葉県の2カ所で運営する。「変なホテル」という名称でそれぞれ100~150室程度だが、いずれも宿泊客対応などを7人で受け持つ。フロント業務や共用スペースの清掃などでロボットを積極活用して、最初に開業した長崎のホテルでは当初の30人から大幅に減らした。
全国のホテル向けにノウハウを外販する。ロボットの導入を支援するほか、ロボットを有効活用できるよう、予約や入退館、清掃の履歴の情報などを一元管理できるクラウドサービスを1~2年以内に発売する。ロボットの導入費用などを除くクラウドサービスの利用料は、月2万~10万円程度を想定する。
藤田観光は道順や設備などについてホームページ上で質問を受けた際、人工知能(AI)で自動返信するシステムをホテルグレイスリー銀座(東京・中央)など2カ所で導入した。日本語や英語、中国語、韓国語に対応する。
また、従来は日本人に限定していた自動チェックイン機を、訪日客も3カ所のホテルで利用できるようにした。会員カードやスマートフォン(スマホ)用アプリの画面をかざし、電子サインとカードなどでの支払いをすればチェックインできる。住所や連絡先を記入したり、予約内容を人が確認したりする手続き時間を3分の1に減らせる。
プリンスホテルは2019年度にも立ち上げる新ブランド「プリンススマートイン」でチェックインやチェックアウトなどをスマホアプリでできるようにして省人化する。1室1泊で1万円前後と「プリンスホテル」ブランドより3000円ほど安く設定する予定だ。将来的に100カ所の運営を目指す。
賃貸不動産仲介のアンビションはアプリ開発のアンドファクトリー(東京・目黒)と組み、スマホアプリで鍵やカーテンの開閉を操作したり、共用のシャワー室の利用状況を確認したりできる宿泊施設の運営を始める。仕切りでプライバシーを確保した2段ベッドなどで2~4人が寝泊まりするドミトリーが中心で、来秋までに東京・浅草に開き、順次広げる。
ホテルや旅館で接客などに従事する人らの有効求人倍率は5月に3.68倍と、全職業平均の1.22倍を大きく上回る人手不足状態だ。
観光庁によると、全国の宿泊施設の平均客室稼働率は16年にシティーホテルが78.7%、ビジネスホテルが74.4%と好調だ。ホテルの効率的な運営が広がれば、宿泊料の値下げにつながる可能性もある。

