総合正社員の求人倍率1倍超視野 人材囲い込み、賃上げ加速も
厚生労働省が30日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.48倍と、バブル経済期の水準を超えた。企業の人手不足感は強まっており、正社員に限った有効求人倍率も初めての1倍超えが視野に入る。長期的な視点で人材を囲い込もうとする正社員確保の動きが広がれば、くすぶりがちだった賃上げに勢いがつく可能性がある。
正社員の有効求人倍率は0.97倍だった。統計を取り始めた2004年11月以降で最高だった。リーマン・ショック後で景気が急減速した09年11月(0.25倍)を底に右肩上がりの上昇が続く。
ここ数年の人手不足は、主に女性や高齢者らパートタイム労働者が補ってきた。総務省の労働力調査によると、12年から16年にかけて非正規社員は11%増えたが、正規社員は0.7%の伸びにとどまった。
ただ人手不足に拍車がかかるなか、足元では正社員は堅調に増えている。4月の正社員数は3400万人と前年同月より14万人増えた。非正規社員の伸び(33万人)より小さいが、2年5カ月(29カ月)連続で前年を上回った。スーパーなどでパート社員らを正社員に切り替える動きが相次いでいる。
非正規社員が給与水準の高い正社員に切り替わるだけでも、経済全体でみた賃金水準は上がる。さらに正社員の有効求人倍率が1倍を超えて、求人が求職を上回る状況になれば、正社員がより待遇の良い正社員へ転職する動きが増える可能性がある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮崎浩氏は「企業は社員をつなぎとめるため、ボーナスや福利厚生も含めて正社員の待遇改善に積極的に取り組む」とみる。
最近の景気回復局面では非正規社員の増加が先行し、雇用情勢が改善しても賃上げにはつながりにくかった。企業による正社員の争奪が激しさを増すことで、賃金上昇への波及も強まるだろうか。