残業規制、脱時間給とセット 働き方改革、連合苦悩

総合残業規制、脱時間給とセット 働き方改革、連合苦悩

安倍晋三首相が「最大のチャレンジ」と位置付けた働き方改革。労使代表らがメンバーの「働き方改革実現会議」は3月末、約半年間の議論を経て残業時間の上限規制などを盛り込んだ実行計画をまとめた。秋の臨時国会ではいよいよ立法段階に入るが、改革の旗振り役だった連合の顔色がなぜかさえない。

 

月平均60時間、年間では720時間とし、焦点の繁忙月の特例は100時間未満とした残業時間規制の最終案。「100時間はあり得ない」としてきた連合の意向を踏まえた首相要請で決まったもので、労働基準法70年の歴史で初の大改革となる。連合にとっても悲願だったはずだ。

しかし、実行計画をとりまとめた3月28日の実現会議の終了後、連合の神津里季生会長は厳しい表情を浮かべて記者団に語った。「今のままで法案が通るのは反対だ」。連合の要求を反映させた残業時間規制案となったにもかかわらず、わざわざ苦言を呈したのには理由があった。

神津氏が問題にしたのは実行計画に盛り込まれた一文だ。労働時間ではなく仕事の成果に応じて賃金を支払う「脱時間給制度」の導入を柱とする労基法改正案に触れ「国会での早期成立を図る」と明記した。同法案は野党や連合が「残業代ゼロ法案」と批判。審議されないまま約2年たなざらしになっている。

その法案を政府は今国会での成立を見送り、今回の残業時間規制を盛り込んだ労基法改正案と一体で秋の臨時国会で審議する方針だ。残業時間規制とともに、時間にとらわれない働き方も認め、企業側が懸念する労働の生産性の低下を防ぐ狙いだ。批判の多い脱時間給導入だけで労基法を改正するより世論の理解を得やすいとの判断もある。

残業時間規制という成果を勝ち取った神津氏だが、脱時間給制度は「長時間労働を助長し、残業時間規制とは矛盾する」との立場。しかし、一体審議となれば残業規制の導入を求めてきた立場から法案審議への明確な反対を唱えにくい。

さらに連合を悩ませるのは支持政党である民進党が残業時間規制を巡り、繁忙月の例外を100時間未満とすることにした今回の案に「長すぎる」として反対の立場を示していることだ。脱原発などで関係は既にぎくしゃくしているが、これ以上溝が深まるのは避けたいところだ。

脱時間給制度と残業時間規制を別々の法案として審議し、民進党も残業時間規制には賛成に回ってくれるのが連合にとってはベストシナリオ。しかし政府は連合の立場を承知のうえでパッケージ案を突きつける構えだ。民進党が政府案に賛成しないのも連合が一番分かっている。