春季労使交渉、米保護主義が影 トップ会談

総合春季労使交渉、米保護主義が影 トップ会談

経団連の榊原定征会長と連合の神津里季生会長は2日午前、都内で会談し、2017年の春季労使交渉が本格的に始まった。榊原氏はトランプ米政権の保護主義的な政策が世界経済の懸念材料になるとの認識を示したうえで、年収ベースでの賃上げを求める方針を示した。神津氏はデフレ脱却へベースアップ(ベア)が不可欠と主張。円安の追い風が弱まるなか、前年を上回る水準のベアが実現できるかが焦点になる。

会談を前に握手する経団連の榊原会長(左)と連合の神津会長(2日午前、東京・大手町)

会談を前に握手する経団連の榊原会長(左)と連合の神津会長(2日午前、東京・大手町)

各企業は3月中旬の集中回答日に向けて労使交渉を始める。安倍政権は経済の好循環を継続するために賃上げの必要性を訴えている。第2次安倍政権の発足以降、円安などを追い風に企業業績が回復し、3年連続のベアが実現した。長時間労働の是正など働き方改革の必要性で労使は一致したが、ベアの認識では隔たりがある。

榊原氏は会談の冒頭で「経済の好循環の観点から賃上げの勢いは継続する」と強調した。中長期的に収益が拡大した企業にベアに限らず賞与や手当を含む年収ベースでの賃上げを求めると説明。これに対し神津氏はデフレ脱却に向けて「ベアが極めて重要だ」と訴えた。

労使の景気認識は大きく異なる。榊原氏はトランプ政権に関して「懸念と期待が交錯している」と指摘。インフラ投資が活発になることに期待する半面、貿易の保護主義やドル高是正に向けた強硬姿勢に警戒感を示した。一方、神津氏は「物価が上がらなくても賃上げが必要だ」と強調。政府・日銀の主張と同様に賃上げを起点にデフレ脱却を目指すべきだとの考えをにじませた。

安倍政権が重視する働き方改革の必要性では労使が足並みをそろえた。電通の過労自殺問題を受け、長時間労働の是正の必要性は「方向性を共有できた」(神津氏)。経団連は残業時間の減少で手取り収入が減るのを避けるために基本給や手当の増額を提案している。所定内労働時間を減らして「実質的なベア」とする取り組みも推奨し、残業時間の減少と賃上げを両立していく考えだ。

神津氏は「労使間で労働協約などを見直し、職場の中のルールとして順守しなければならない」と語った。経団連が提案する配偶者手当の見直しは手取りが減る社員がいるため労組の反対も予想される。働き方改革をどう具体化するかは今後の労使交渉の大きな争点になる。