働き方改革 会社と社員、足並みそろわず?

総合働き方改革 会社と社員、足並みそろわず?

政府と企業経営者が今年の重点課題と位置づける「働き方改革」。上場企業の担当者と正社員に改革の受け止めを聞くと、取り組むべき課題や改革のイメージを巡って意見の違いがあることがわかる。社会保障制度改革や長時間労働の是正を最優先に取り組むとする企業に対し、社員は賃上げを求める。労使の足並みがそろわないと、改革の果実も乏しくなる。

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日本経済新聞社と日経リサーチは2016年12月下旬、上場企業を対象に働き方改革を巡るアンケートを実施、301社から回答を得た。これと並行して、インターネットで民間の一般企業で働く正社員(20~79歳)にも類似の調査を実施し、10508人から回答を得た。

企業側にはどんな改革を進める考えか聞いた。取り組むべき優先課題を複数回答で挙げてもらったところ、最多は「長時間労働の是正」。回答率は全体の73.1%と高い。これに「女性の活用」「子育て・介護、病気の治療と仕事の両立支援」などが続く。一方で、賃上げや非正規雇用の処遇改善、終身雇用の見直しは差し迫った課題とは認識されていない。

 

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企業と社員の双方にこれまでの企業の取り組みを評価してもらうと、企業側は「取り組んでいる」との回答が全体の86%を占めた。不十分な面はあるにせよ、改革の必要性を十分意識している様子が伺える。

それでも正社員は満足していない。正社員に「勤務先の働き方改革への取り組み」を聞くと、「取り組んでいる」は4割どまり。労使の温度差は鮮明だ。

政府は今年3月に働き方改革の全体像をまとめる。昨秋から年末にかけて、同じ仕事なら同じ賃金を払う「同一労働同一賃金」のガイドラインづくりや、企業への賃上げ要請などを進めてきた。年明け以降、長時間労働の是正、副業の推進など柔軟な働き方などを議論する。政府は9項目の課題を掲げるが、企業と正社員はどの項目に期待しているのだろうか。

 

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企業が最も期待しているのは「社会保障など女性や若者が活躍しやすい環境整備」。僅差で「長時間労働の是正」が続く。企業が国に求めるのは、女性や若者の就労意欲を高めるための支援ということになる。外国人の受け入れ増や同一賃金の要望は極めて少ない。政府と企業の対話はやや足りないようだ。

正社員は「賃上げ」が4割を超えた。2割程度で2位となった「長時間労働の是正」を引き離し、目先の実入りを重視する姿勢がくっきり浮かぶ。改革が本来めざすべきは、働きやすさを高めて、成果を出す態勢を整えること。真っ先にお金を求める姿からは、改革への期待度の低さしかみえてこない。