在宅勤務定着へ制度充実 味の素、管理職に義務付け

総合在宅勤務定着へ制度充実 味の素、管理職に義務付け

優秀な人材の確保などを狙い、多様な働き方を認める企業の動きが加速している。味の素は本体の全社員を対象に、在宅勤務制度を2017年4月に導入。管理職は週1日の利用を義務化する。川崎重工業も17年度中に在宅勤務を総合職全体に広げるほか、時間当たりの成果を重視するなど人事評価も見直す。年間の介護離職者が10万人を超えるとされる中、社員の仕事と育児・介護との両立を本格支援する。

 

味の素と川崎重工は管理職が率先して取り組んだり、評価項目に盛り込んだりして、社員の活用を促す。制度を設けるだけでなく、さらに踏み込んで実効性を高める取り組みが広がりそうだ。

在宅勤務は場所に縛られない柔軟な働き方を意味する「テレワーク」の一種で、10年代に入り導入企業が増加。だが、国土交通省によると日本で週に1日以上、終日在宅で就業する人が全労働者に占める割合は15年で2.7%と、欧米の10~20%より少ない。政府は20年にこの割合を10%以上に高める目標を掲げる。

味の素の在宅勤務は管理職にあたる基幹職、一般職、嘱託社員ら本体の全社員が対象で、約3500人に上る。週1日だけ出社すれば、それ以外は自宅など社外で働ける。形骸化を防ぐため、3分の1を占める約1100人の管理職には原則、週1日を目安に在宅勤務を義務化する方針。罰則は特に設けない。全社員が対象の在宅勤務は珍しく、取得を義務化するのは異例だ。

社外で働く社員が増えるため、情報漏洩のリスクが低いパソコンや情報システムも導入する。総投資額は10億円程度となる見込み。パソコンは深夜時間帯には起動できない仕組みも導入。社員が自宅近くで仕事ができるように、複数のサテライトオフィスとも契約を結ぶ予定だ。同社は20年度までに1日あたりの所定労働時間を7時間とする目標を掲げる。

川崎重工は事務職と技術職を合わせた総合職の社員を対象に在宅勤務制度を今秋から導入。人事部から試験的に始め、17年度中に全職場に広げる。また、17年度からは人事評価も見直し「時間当たりの売上高」といった効率性を重視する項目を設け、長時間労働の削減につなげる。時間当たりの売上高などの数値目標も職場ごとに設定する。会議の短時間化や資料作成の効率化などのマニュアルも作成する。

武田薬品工業は従来、在宅勤務者には、個室を用意するなど「会社と同じような環境」などを求めていたが、条件を大幅に緩和した。その結果、在宅勤務の利用者は15年度の約340人から16年4~9月は640人と2倍近くに増えた。

トヨタ自動車も10月から国内で働く入社3~4年目以降の総合職約1万3000人を対象に在宅勤務を導入した。今後は従来型のオフィス勤務中心の社員と在宅勤務中心の社員に分かれていく。職場のコミュニケーションを円滑にする努力が欠かせない一方で、働き方の変化に応じた人事評価や、給与体系の構築も求められる。