就活実り内定式…進路確定9月、16ポイント増

新卒就活実り内定式…進路確定9月、16ポイント増

◆学生「短期集中」、企業「確保厳しい」

 来春入社予定の大学生らを集めた企業の内定式が3日、県内の多くの企業でも行われた。今年は、経団連が定める面接など選考の解禁が昨年より2か月早い6月1日となり、早めに就職活動のめどが付いた学生も多かった一方で、採用活動が厳しくなったとする企業が6割以上に上ったとの調査もある。(吉岡みゆき、南祐太朗)

 静岡銀行は3日、静岡市内で内定式を行い、例年並みの172人が参加した。経団連の指針通り6月に選考を開始したが、「広報活動期間が短縮し学生と接触する機会が減ったことと、求職者に有利な売り手市場だったことが重なり、志願者数はわずかに減少した」(採用担当)という。

 内定通知書を代表で受け取った関西学院大4年の中村優希さん(22)(富士宮市出身)は「選考前倒しで学生と企業の動きが早まり、短期集中で活動できた」と振り返り、「地域の魅力を高める業務に就きたい」と抱負を語った。

 リクルートキャリア就職みらい研究所(東京都)によると、静岡県を含む中部地方の来春卒業予定の大学生のうち、9月1日現在の就職内定率は87・9%だった。昨年9月の75・0%を大きく上回り、4月採用解禁だった2015年9月の81・3%も上回った。

 9月1日時点の進路確定率は80・9%で、昨年を16ポイント以上も上回った。

 同研究所は「選考解禁が前倒しされたことで早めに内定が積み上がり、進路を確定した学生が多くなっている」とする。その上で、「昨年内定辞退が続出して採用予定人員を満たせなかった企業が、昨年の分まで採用しようとしていることなどから、企業の採用意欲が旺盛で、大卒求人倍率が1・74倍と高かったことが背景にある」と分析した。

 一方で、公益財団法人「就職支援財団」(静岡市)が8~9月に県内企業に対して行った調査では、昨年と比較して採用が「厳しくなった」と回答した企業が64・2%に上った。特に製造業では70・7%が「厳しくなった」とした。

 内容としては、従業員数が99人以下の企業で「応募者数の確保が難しい」とするケースが多く、300人以上の大企業では「内定辞退者数の多さに困難を感じる」との回答が目立った。

 静岡労働局静岡新卒応援ハローワークによると、複数企業から内定を得ている学生が、内定式を前にして入社予定以外の企業の内定を辞退するケースが出ており、中小企業側から「採用予定人員を取り切れていない」との相談がこのところ相次いでいる。

 同ハローワークではそうした企業に対して「新卒に限定せず既卒者にも採用枠を広げてみては」などとアドバイスしているという。

◆急ぐ中小「おわハラ」も

 静岡大学就職支援課によると、経団連の指針に縛られない中小企業は、大企業の選考開始前の5月末までに内定を出そうとする傾向が強く、学生からは、4~6月に就職活動が集中し、「スケジュールのやりくりが大変」との声が聞かれた。

 関係者によると、学生から「やわらかい『おわハラ(就活終われハラスメント)』を受けた」との悩みが寄せられ、4~5月に採用面接をした中小企業が「6月以降に大手の選考を受けなければ、内定を出す」と迫られた事例もあったという。

 「選考過程に進んでしばらくたつのに、企業から何の連絡もない」との相談もあり、静岡新卒応援ハローワークの担当者は「昨年に採用予定人員を取り切れなかった企業が、今年は不採用の連絡をせずに、補欠の学生を『保険』として取っておいているのかもしれない」と推察する。こうした企業が学生を振り回すケースは後を絶たないようだ。