総合東南アで「日本式教育」 企業進出、人材育成で支援
東南アジアで現地に進出する日系企業向けの人材を育てるための教育機関が増えてきた。ベトナムでは9日、日越両政府が大学院を開設。今月下旬にはカンボジアに中学校までの国際学校が始動する。日本政府は日本の大学と連携して規律や協調性を重んじる教育システムの輸出を支援し、アジア展開を拡大する日本企業のニーズに応える。
日越政府による大学院はハノイにあるベトナム国家大学内に開設した。東大、京大、阪大らと連携し、環境、ナノテクノロジー、公共政策などの修士課程を設ける。73人が学び始める。
大学院の設置は両政府が合意していた「日越大学構想」の第1弾。3年後に学部レベルも備えた独立の総合大学の建設に着手し、2020年にも開校する。学部と大学院を合わせた学生数は6000人を見込む。日越英の3カ国語で授業し、日系企業が求める優秀なベトナム人材を供給できるようにする。
カンボジアの首都プノンペンでは9月28日、同国初の「日本式教育」をうたったインターナショナルスクールが開校する。カンボジアやミャンマーなどで教育支援を続けてきた民間団体シーセフ(東京・渋谷)が主体。保育園から中学校まで、すべて日本語で日本の教育課程に沿って各科目を教える。卒業後は日本の高校、大学に留学できるようにする。
インターナショナルスクールはアジア全域で増えているが、日本式教育をうたったものはまだ少ない。同じように「日本式」のインターナショナルスクールはベトナムでも6日に開校。現地不動産大手のヒムラム、セメント大手のスアンタインなどが出資し、教育プログラムは中央大と連携する。校長は同大の山田正教授が務める。
インドネシアでは学校法人の麻生塾(福岡市)が14年、現地のビヌス大学と提携し、自動車工学、CAD(コンピューターによる設計)の講座を始めた。日本人講師が時間厳守、作業の効率化を積み重ねる「カイゼン」活動といった日本での労働慣行などを伝授する。ベトナムやインドネシアよりも日系企業が多いタイでは07年に日本型ものづくりを教える泰日工業大学が開校し、人気となっている。
日本の文部科学省は今夏、外務省や経済産業省、教育関連企業などと「日本型教育の海外展開官民協働プラットフォーム」を設立した。教育プログラム、集団行動、しつけなど日本独特の学校教育の仕組みを新興国に輸出する狙いだ。
帝国データバンクによると、東南アジア諸国連合(ASEAN)に進出する日系企業は16年時点で1万1300社以上。日系の工場も自動車産業が集積するタイだけでなく、ベトナムやインドネシア、カンボジアなどでも増えている。
一部の国では労働力が不足して工場などで働く人を確保するのが難しくなってきたのに加え、各国内で潜在的に足りない中間管理層の人材を日本の協力で育てる必要性を説く声が日本企業の中で高まっている。