中途, 総合外国人就労拡大、まず建設業で検討 実習延長など
政府は外国人労働者の受け入れ拡大に関する議論を始めた。まず東日本大震災からの復興や2020年東京五輪に向けたインフラ整備で技能工らの不足感が強まっている建設業で、現行の技能実習の期間延長などを検討する。少子高齢化で労働力人口が減り、景気回復で雇用の過剰感が薄らぐ中、労働力の確保は日本経済の中長期の課題。副作用もにらんだ戦略の立案が欠かせない。
政府は24日、建設業での外国人活用の緊急措置を検討する閣僚会議を開いた。今年度中に対策をまとめ、必要な法改正などを経て、15年度初めをメドに外国人労働者の受け入れを増やす。
対策の柱が最長3年に限り外国人を受け入れられる技能実習制度の拡充だ。受け入れの期間延長や枠の拡大のほか、3年の実習を終えた外国人が同じ技能研修で再入国できるようにする案がある。出入国管理・難民認定法の改正や関連省令の見直しを検討する。
求人情報大手のリクルートジョブズ(東京・中央)によると、13年11月時点の三大都市圏(首都圏、東海、関西)の建築・土木工事関連職の平均募集日給は1万107円と前年同月比約3%高い。時給を引き上げても技能者を集めるのが難しくなっている。外国人実習生を受け入れる動きはあるが言葉や技術が壁。実習制度の拡充で、技術を身につけた外国人の受け入れが広がる可能性がある。
企業の人手不足感は、建設業以外にも広がりつつある。景気回復で完全失業率は4%前後まで下がった。日本では求人企業と求職者の条件が合わない雇用のミスマッチが生み出す失業率は3%台後半とされる。完全失業率がこの水準に近づき、企業が抱く雇用の過剰感は薄れている。
将来は少子高齢化で働き手が減る。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、30年の労働力人口は10年と比べ11%減る。長い目でみれば外国人労働者の活用の効果は大きそうだ。
第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストによると、在留する外国人技能実習生が現在の約15万人から倍増すれば、日本の国内総生産(GDP)を7300億円、率にして0.15%押し上げる。人手不足に悩む建設会社などが業務の受注額を増やせるためだ。
人手不足が解消すれば、人件費の高騰も抑えられる。企業の負担が減り、新たな設備投資に踏み切りやすくなるという効果もある。
政府は6月にまとめる新成長戦略の検討方針で、女性の活躍を促すとともに外国人の就労拡大に取り組む考えも打ち出した。技能実習制度の介護分野などへの拡大を検討する。建設業での議論を、ほかの分野の突破口とする狙いもありそうだ。
外国人労働者の受け入れを巡っては、不法就労など社会的な影響を懸念する声もある。法務省によると13年の不法残留外国人は約6万2千人。22万人を超えた10年前から7割減った。外国人労働者が暮らしやすい生活環境の整備や、不法就労対策も含めた戦略もあわせて求められそうだ。
