学生の就業体験「進化」 2カ月有給型や海外型も

新卒学生の就業体験「進化」 2カ月有給型や海外型も

学生が企業などで実習や研修をするインターンシップ(就業体験)を充実させる大学が増えている。2カ月に及ぶ有給型を新設したり、海外に飛び出す仕組みを用意したり。学生の学習意欲が高まり、就職後のミスマッチを防げると大学側は期待する。

東京都八王子市にある東京工科大は9月から、インターンシップの一種である「コーオプ(コーオペラティブ)実習」を始める。工学部(入学定員280人)の必修科目で、初年度は機械工学科の全2年生約120人が実習先に2カ月間「通勤」する。

米国で盛んな教育法で、達成目標などの就業プログラムを大学が主体となって実習先とともに一つ一つ策定。期間中、学生は実習先から最低賃金で「給与」を受け取る。1年次に就業マナーなどを学び、実習後は現場での気づきや、どのような改善を提案したかなどの発表会を開く。一連の取り組みが単位認定される。

ログイン前の続き同大は都内や神奈川県内の企業約100社と学生受け入れの契約を結んだ。新卒採用に苦労する企業側にも人材発掘の可能性が広がる利点がある。企業側は学生の成績評価にも関わる。

今月9日、学内で学生と実習先との顔合わせがあった。「どんなことをやりたいの?」「お客さんの要望が技術的にどう製品に具体化するか学びたいです」。スーツ姿で緊張した面持ちの学生が、光学機器メーカーの社長に答えていた。

非破壊検査機器のメーカーで実習する宮本康平さん(19)は、有給で受け入れてもらうことで責任感が増すと感じる。「企業が求める以上の成果を出したいと思う。自分に足りないことを学んで大学での研究につなげたい」。将来は自動車部品の設計を志望する。

参加企業も長期のインターンを歓迎する。「過去には3日というのもあったが何も学べない。学生には腰を落ち着けて現場を見てほしい」と話すのはトラックの荷台などを製造する東洋ボデー(東京都武蔵村山市)の中條守康社長(75)。学生たちの間で地元企業の認知度が上がってほしいと期待する。

導入前、米国の事例を視察した同大の大山恭弘・工学部長は「質の高い技術者を育成するには、現場を体感した上で技術を学ぶ過程が欠かせない。企業の力を借りてプログラムを改善していく」と話す。(志村英司)

■3週間未満が8割超

日本学生支援機構が全国の大学を調べたところ、約9割(718校)が「インターンシップを実施」と答えた。大半が授業科目として単位認定していた。学生の参加率はおよそ5人に1人となる18・5%だった。

一方、実施期間は「3週間未満」が8割以上を占めた。文部科学省は「中長期の方が教育効果が高い」として、東京工科大をはじめ長期間のプログラムを導入した大学を支援する。

神戸大神戸市)は1、2年生向けにアジア各国にある法律事務所や日本語教育機関でのインターンシップに参加するコースなどを開設。その経験を踏まえて、3、4年生での留学につなげてもらうのが狙いだ。福岡女子大(福岡市)は、社会と学びを自分で結びつける力を育成しようと海外のNPOで4~8週間の研修などのプログラムを準備する。

インターンシップ就職活動に直結する例は珍しくない。就職情報会社ディスコの調査では、実習先企業の本選考に応募した学生は7割超。そのうち約4割が内定を得たという。毎年300人の学生を受け入れる住宅建設メーカーの担当者は「2割が採用にいたる。職場の雰囲気を知って選んでもらえるので、ミスマッチを防げて効率的だ」と話す。