総合採用苦戦、もがく中小 就活短期化で独自の工夫
2017年春の新卒採用で中小企業が悪戦苦闘している。大企業の求人増や就職活動の期間が昨年より2カ月短くなり、学生の大手志向が例年より強まったからだ。逆風のなか、中小各社はロボット導入をアピールして3K職場のイメージを払拭したり、インターンシップ(就業体験)導入など、独自の工夫で懸命の採用活動を続けている。
就職情報のディスコ(東京・文京)が16日発表した1日時点の調査によると、内々定を取った学生のうち83.9%が既に就職活動を終了したと回答。大学生の就職活動は早くも終盤戦を迎えている。今年の特徴として「特定の大企業に絞り込んで就活する傾向が鮮明になっている」という。
「中小企業の人手不足は深刻なのに合同説明会に学生が集まらない」。東京中小企業家同友会の大西昌典・事務局次長は嘆く。今年は採用活動解禁から選考開始まで3カ月と短く、多くの企業を学生が回れなかったことが中小企業に不利に働いた。金属労協加盟の中小企業は16年春の労使交渉で初めて大手を上回るベースアップを獲得したが「学生に全く響かない」(首都圏の自動車部品メーカー)と肩を落とす。
新卒の関心がかつてなく低いなか、中小各社は採用活動に知恵を絞る。
アルミ加工の常磐鋼帯(東京・江東)は工場に装着型ロボットを導入。製造現場につきまとう3K(きつい、汚い、危険)職場のイメージ払拭をアピールする。谷川豊社長は「先進的な取り組みを見せて若い人に興味を持ってもらいたい」と話す。17年卒も既に数名の工場見学の予約が入る。
金属加工の浜野製作所(東京・墨田)は8月下旬から大学生18人を受け入れる。自社が開発に関わる福祉用ロボットや食品の製造装置について改善案を学生に考えてもらう。就職情報のマイナビ(東京・千代田)が主催する学生向けインターンのイベントに参加する中小企業(従業員数300人以下)は今年は27社と昨年の倍以上に増えた。
ビルの空調、給排水設備などを設計・施工するローヤルエンジニアリング(東京・豊島)は現場職の採用範囲を文系の学生にまで広げた。入社後は建築設備の専門学校に通わせて設計の基礎を学ばせる。これまで経済学部などから8人を採用した。今年も応募学生の半数以上は文系だ。
日本の就業人口の約7割は中小企業が占める。日本経済を縁の下で支える中小企業が人材不足で弱体化するようだと、日本の強みである「もの作り」の活力も大きくそがれかねない。