これで納得! 給与計算システムの歴史と進化

総合これで納得! 給与計算システムの歴史と進化

給与計算は、経理や生産管理と並んで、最も早期にコンピュータ化された業務です。制度改正や複雑化する給与体系に迅速に対応し、効率的で正確な給与計算を支援します。汎用コンピュータでのシステム化にはじまり、オフィスコンピュータで一般化され、現在ではクラウドから提供されています。また今、マイナンバー制度の施行で大きな転換期を迎えています。ここでは、この給与計算システムの歴史と進化について解説します。

給与計算システムの歴史

給与計算システムの歴史1:システムの誕生

給与を意味する英単語Salary(サラリー)は、古代ローマ時代に、兵士に支給された塩(salt)に由来するといわれるほど、古くからある制度です。日本の江戸時代の豪商でも、使用人の雇用や給与体系は文書として残っており、早くから制度化されていました。

これが明治維新の文明開化により法整備され、企業はその仕組みに従って給与計算し、社員に給料を支払っていました。しかし、社員それぞれに計算式があり、人事や経理部門の大きな負担となっていました。社員からの満足度や信頼を維持するため、計算間違いや遅配は決して許されません。また、法制度もしばしば変わり、その追随も求められます。

そこで、汎用コンピュータが大企業で使われるようになった1970年代、経理や生産管理などとともに、給与計算もシステム化されます。複雑な反面、計算式がはっきりしているため、コンピュータ化しやすい業務でもありました。人事部門で管理することが多いため、人事業務と一体化され、現在でも「人事・給与計算システム」と統合されたシステムが提供されています。

1980年代、手ごろな価格のオフィスコンピュータが中堅・中小企業に導入されるようになり、給与計算業務も手作業からコンピュータ化されていきました。人員削減などの費用対効果がはっきりとしており、投資の対象に適していました。

給与計算システムの歴史2:ERPへの統合

給与計算システムの発展の流れの中で、重要となるのがERP(Enterprise Resource Planning)への統合です。1990年代前半、全社的なリソース管理の考え方が起こり、統合パッケージのモジュールの1つとして給与計算システムが入っています。

もともとは生産管理であるMRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)をベースに開発されたシステムで、製造だけではなく企業のリソースである人、モノ、金もまとめて管理しようという発送が起点となっています。日本には90年代半ばに紹介され、先進的な企業が導入を試み、2000年代初頭からはちょっとしたブームになりました。

日本では、パッケージとしての魅力が先走り、全社的なリソース管理の考え方が根付いたかは疑問です。しかし中には、パッケージとしてのみではなく、ERPの本質を追究した統合型のシステムが日本のIT事業者からも提供されています。

給与計算システムの歴史3:アウトソーシングの台頭

90年代から2000年代になって、給与計算のアウトソーシングが見られるようになりました。計算業務の代行サービスは早くからありましたが、とりわけこの時期から外部に託する動きが活発化しました。

背景にはバブル崩壊以降の低成長時代の到来があります。限られた人材をコアコンピタンスに集中するため、外に出せる業務を可能な限りアウトソーシングしようとしたのです。給与計算は個人情報が含まれるため、外部委託に抵抗を示す企業も多かったのですが、万全なセキュリティ保護を確認のうえ、人材の有効活用が進められました。

給与計算システムの歴史4:マイナンバー制度への対応

給与計算システムの歴史に大きな影響を与えたものに2016年1月から施行されたマイナンバー制度があります。2016年分の給与所得の源泉徴収票、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書などに、このマイナンバーを記載しなければなりません。

マイナンバー管理の手順は国からガイドラインが示されていますが、これが厳重で多くの企業が持て余しています。情報漏えいの際の罰則も厳しく、給与計算システムにも高いレベルのセキュリティが求められるようになりました。

まとめ ~ 給与計算システム刷新や導入の好機 ~

マイナンバー制度の施行はある意味、給与計算システム刷新や導入の好機となります。すでにExcelでは限界がありますし、今まで使いづらい思いをしていた旧システムを切り替える時期です。多くのIT事業者がマイナンバー制度対応をうたった新システムを投入しています。また、アウトソーシングという手も考えられます。これを機に給与計算業務の見直してはいかがでしょうか。