総合中途採用比率&新卒採用比率ランキング 「CSR企業総覧」で読み解く有望企業<8>
大手企業の採用もほぼ終わり、人気企業の第1志望から内定を得られなかった学生も少なくないだろう。なかには、第1志望ではない就職先の内定を決めたものの、「将来、希望の会社に再チャレンジしたい」という思いを持っている人もいるかもしれない。
日本企業は大手を中心に新卒採用が多いと言われる。ただし、近年は人材の流動化も進み、中途採用が増えているという話も聞く。では、今年の就職活動で人気企業から内定を取れなくても将来、中途採用で希望の会社に入社できる可能性はあるのだろうか。
今回は『CSR企業総覧』2016年版に掲載する各社の2014年度(2014年4月から2015年3月)の中途採用人数、2015年4月入社の新卒採用人数の情報を基に、中途採用比率、新卒採用比率を算出。中途採用が多い(中途採用比率が高い)会社、新卒採用が多い(新卒採用比率が高い)会社をそれぞれトップ50でランキングした。あくまで「単年度の数値」ではあるが、大手企業の採用で中途と新卒のバランスがどうなっているのかを見てほしい。
平均中途採用率は28.5%
続いて、それぞれのランキングの顔ぶれを紹介する。
まずは中途採用比率ランキング。1位は中途採用比率97.7%の日本オラクルだった。2014年度の中途採用209人(M&Aの増員含む)に対して、2015年4月の新卒入社は5人と中途が圧倒的に多い。ただ、新卒採用も2014年46人、2013年20人と定期的に行っているので2015年は例外的であるかもしれないことには注意が必要だ。
2位はアズマハウスの97.6 %。中途採用81人、新卒採用2人だった。和歌山地盤の総合不動産会社の同社は分譲住宅、注文住宅が主力で、ホテルやサービス付き高齢者住宅なども手がける。
直近の2016年3月期は売上高109億円で11億円の営業利益で売上高営業利益率10.9%という高い利益率を誇る好業績企業だ。内部監査部門や社外の内部通報窓口なども設置しておりコンプライアンス体制も整備されている。
3位はハーバー研究所の96.8%。中途採用120人に対して新卒は4人。同社は女性社員404人、男性社員44人と女性が90%以上を占める。女性管理職比率50%、女性部長比率50%と管理職クラスでも女性活躍が進んでいる。
以下、4位ペッパーフードサービス(96.6%)、5位オーシャンシステム(93.2%)と続く。しかし、90%以上は9位のゴールドウイン(90.3%)までだ。
そのほか上位は比較的歴史の新しい会社が並ぶなか、新卒採用中心のイメージの強いANAホールディングスが81.0%で18位となった。中途採用234人に対して新卒(総合職のみ開示)は55人と、中途入社が新卒の4倍以上いる。
しかし、この中途234人はすべて客室乗務職の女性。ANAを中途採用で目指す男性にはハードルが高そうだ。他には23位ヤフー(73.9%)、38位楽天(63.0%)など比較的歴史の浅いIT系企業で中途採用比率の高さが目立った。
中途採用比率が高いのは、「伸び盛りで人がどんどん必要になる」という好循環のケース以外に、「従業員の入れ替わりが激しいから」という意見もありそうだ。確かにそうした面も否定できないが、ランキング対象はCSR活動に取り組み自社の情報開示にも積極的な『CSR企業総覧』掲載企業であることも考慮すべきだ。
さまざまなステークホルダーを重視し従業員も大切にする会社である可能性は高い。『CSR企業総覧』誌面の掲載情報をじっくり確認することで、各社の状況をさらに詳しく知ることができるだろう。
新卒採用比率100%が9社
10位は東京海上ホールディングスの99.5%(データは東京海上日動火災保険)。新卒647人に対して中途は大卒女性3人のみと中途入社はかなり難しそうだ。上位30社のうち16社が銀行、保険といった金融機関。こうした業界の採用は新卒中心で中途では入社しにくいことが予想できる。
同じ業種でも会社による違いもある。24位の第一三共は97.9%。新卒92人に対して中途2人と新卒の存在感は圧倒的だ。一方、同じ医薬品業界で最大のライバル武田薬品工業の新卒比率は35.1%(中途比率64.9%)。
第一三共も2013年度13人、2012年度32人と中途採用を行っているので、例年は100%近い新卒比率ではないが、こうした差は社風などを見る際に参考になるかもしれない。
人気企業は新卒採用比率が高い傾向
ほかに35位東京ガス(97.1%)、36位住友商事(96.9%)、38位キユーピー(96.6%)、41位明治ホールディングス(96.1%)、46位伊藤忠商事(95.9%)など就活生に人気のある会社の新卒比率も軒並み高い。各社とも即戦力としての中途採用を軽視しているわけではないだろうが、優秀な新卒者を社内でじっくり育てていくという方針の会社は依然少なくないことが見て取れる。
このように、人気の高い会社への中途でのリベンジは不可能とは言わないが、新卒採用時以上の狭き門であることは間違いなさそう。新卒とほぼ同じ条件で受けられる第二新卒枠などは別として将来、再チャレンジというのはあまり現実的ではないのかもしれない。
もっとも自分にあった会社はこうした人気企業ばかりではない。中途が多数派の会社は、比較的入社しやすく伸び盛りであることも多い。また、社内は新卒や中途という意識も薄く、入社後も疎外感を感じにくいというメリットもある。まずは内定先に入社して、しっかり仕事に励んで実力を蓄えてから、こうした中途採用中心の魅力ある会社に挑戦するという選択もあるだろう。
ただ、数年、与えられた仕事に一生懸命取り組んでいけば、最初に入った会社でのやりがいを感じるようになることも十分考えられる。最初は第一志望でなくても「実は自分にあった職場だった」と気づく日が来るかもしれない。
それでも転職を希望する場合は『CSR企業総覧』に掲載している中途採用が多い会社を詳しく調べてみよう。多くのステークホルダーとの共存を考えて事業活動を行っている優良企業が多くお勧めだ。『CSR企業総覧』をじっくり読み込んで、本当に自分にあった会社を見つけていただきたい。
2. IT系など伸び盛りの会社は中途採用比率が高い
3. 人気企業ばかりが自分にあった会社ではない
4. 内定先で頑張れば、実は自分にあった職場だとわかる日が来るかも

