企業内の保育、自社や事業に合った取り組み増える

女性雇用企業内の保育、自社や事業に合った取り組み増える

イノベーション不動産(千葉市中央区、加藤孝慈社長)は、従業員と顧客の子どもを対象とした託児所を本社向かいの近接地に設置する。保育料は無料とし、従業員の定着率向上や人材確保につなげる。顧客に30―40歳代の子育て世代が多く、商談中に子どもを預かるキッズスペースとしても活用する。9月をめどに稼働する。

 保育士2人を社員として採用。未就学児を最大15人程度受け入れる体制を目指す。開設時間は従業員の出勤状況に合わせ9時から20時頃を予定。約132平方メートルの事務所を改装し、約83平方メートルを託児所とする。残りのスペースで顧客と設計担当者が打ち合わせできるようにする。自社で改装し、開設にかかる費用は100万円程度。

同社は社員15人中6人が女性。年内に2店舗を新設予定で、5人程度の新規採用を計画する。「不動産業で託児所併設の企業は少なく、人材確保において大きく差別化できる」(加藤社長)と期待する。

JFE、製鉄所内で深夜保育も検討

 

日刊工業新聞2016年5月11日
鉄鋼業界で、企業内保育所の整備を進める動きが出ている。女性の雇用が増加したことだけでなく、夜勤現場への女性の進出に伴って24時間保育が可能な託児施設が必要になっているためだ。この一部では社員以外の地域の子供を受け入れ、社会貢献の意味を持たせている。女性活躍の推進のためには、企業内保育所の増設や地域への開放が重要な要素となる。より多くの企業が検討すべきだ。

新日鉄住金は今春、大分製鉄所(大分市)の正門脇に保育所を開業した。社員の希望者があり次第、24時間対応保育の体制に移行する予定という。

またJFEスチールは来春、東日本製鉄所千葉地区(千葉市中央区)独身寮跡地にできる商業施設内に自前の保育所の開設を計画している。ここで深夜保育の導入も検討するそうだ。

同時に両社とも、社員以外の地域の子どもの受け入れ枠を設ける。自治体による待機児童問題の解消が順調に進んでいない中にあって、大きな社会貢献になるだろう。

女性の活躍推進は安倍晋三政権の重要施策である。国内の労働人口は大幅な減少が避けられず、一方で移民受け入れの議論が深まらない中にあって、潜在的な労働力である女性の社会進出を促すのが当然だ。

子育ては現実問題として、母親に負担が片寄りがちになる。女性の社会進出を促すには、保育園の枠の拡大が最も合理的だ。乳幼児を抱えた若い夫婦が保育園を探す活動、いわゆる”保活“のために引っ越したり、時には転職を迫られたりするような現状では、安心できる就労環境は生まれまい。

行政の足らざる部分を企業に求めるのは適切ではない。ただ地域社会の一員という意味で、企業もなんらかの貢献を検討すべきだ。例えば大企業には自前の病院があり、夜勤の看護師を対象に24時間院内保育所を運営しているところが少なくない。その一部でも開放できないか。

企業内保育所は鉄鋼業界に限らない。それぞれの業界や企業が、実情に合わせた貢献策を考えてもらいたい。

大手生保、駅前保有ビルに保育所

 

日刊工業新聞2016年4月28日
駅周辺の優良地にオフィスビルを多く保有する生命保険会社が、保有ビルの一部を保育所として活用する動きが出ている。待機児童問題をめぐっては保育士の確保と並んで、場所の確保も課題の一つ。生保会社は不動産の空室対策もかねて場所を提供する。ただ、保育所の条件に合致する不動産の確保は容易ではなく、通常のテナント誘致と異なる難しさもある。業界全体に取り組みが広がるには時間がかかりそうだ。

住友生命保険は東京都世田谷区が進める保育所開設に関連する補助事業に手を挙げた。概要は駅前の建物を認可保育園の分園として開設。主に0―2歳の低年齢児を保育し、3歳以上の児童は保育所に隣接する送迎ステーションに集め、保育園の本園にバスで送迎する取り組みだ。

住生は「宇奈根なごやか園」を運営する社会福祉法人嬉泉と連携し、小田急小田原線成城学園前駅から徒歩数分の保有ビル1階に保育所を開設。低年齢児童20人、本園に送迎する高年齢児童20人を収容する。開設は7月以降の予定だ。

保育所誘致で最も力を入れるのは第一生命保険。保有する14カ所のビルに保育園を開設し、すでに700人以上の児童が受け入れ可能だ。4月には西武新宿線野方駅から徒歩10分にある第一生命野方ビル(東京都中野区)内に学童保育を併設した新しい認可保育所も開設している。

空室対策も

生保会社は駅前を中心とする優良地に多くの不動産を保有する。このため、利便性の高い駅周辺の保育所の場所を提供する事業者として期待は大きい。生保側も不動産の空室対策の一環として、保育所を開設する取り組みを進めてきた。

ただ、実際にはハードルは高い。理由として認可保育園として必要なスペック面の問題がある。給排水設備やバリアフリー化、安全対策として二方向避難所の設置など規制が多く、「こうした条件をクリアできる物件は実際は少ない」と住友生命の不動産部不動産運用室の熊田久美子副長も話す。

さらに実際に保育所を運営するのは社会福祉法人などの運営事業者。事業者側で保育士が確保しにくくなっている上、自治体から認可が下りず、補助金の確保が難しくなれば採算上の問題から保育をそもそも提供できなくなる可能性もある。

このため、生保側の取り組みは一部の企業にとどまっているのが現状だ。業界団体の生命保険協会も、保育所への補助金を交付する助成事業は展開しているが、「場所の提供はあくまで加盟各社の判断。協会で呼びかけるのは難しい」と話す。

保育所問題をめぐっては、共働き世帯の増加により、都市部を中心に保育所不足が社会的課題となっている。政府は、2017年度までに、年間で50万人分の保育の受け皿を確保して、待機児童解消を目指す方針を表明している。

47都道府県に設置を目指すイオン。「イオンゆめみらい保育園」

イオン、20年までに全都道府県に保育園

 

日刊工業新聞2016年4月4日
イオンはこのほど、グループ事業所内保育施設「イオンゆめみらい保育園」を神奈川県の総合スーパー「イオンスタイル湘南茅ケ崎店」と埼玉県の「イオンレイクタウン」内に開いた。イオンでは2020年までに全国47都道府県に少なくても1カ所以上、店舗などに事業所内保育園を設置する計画。待機児童問題の解消や、従業員が職場に近いところで子供を預けられ働きやすい環境をつくる。

イオンではすでに千葉の店舗で保育園を開いているが、今回の神奈川県のイオンスタイルに開いた保育園は、イオンリテールが初めて設置主となった。同保育園は定員が21人だが、一部地域住民の利用枠も想定しており、地域の待機児童問題解消にも貢献したい考えだ。

中部空港、空港施設内に初の認可保育所

 

日刊工業新聞2016年3月30日
中部国際空港は空港施設内としては全国初の認可保育所を4月1日に開園する。育児休業などから復職しやすい環境を整え、同社グループの社員や空港内で働く従業員の子育てを支援するのが狙い。保育定員は0歳から2歳まで計19人。運営はエスチャイル(愛知県常滑市)が担う。同空港には2013年まで認可外保育所があったが、常滑市内の別保育所に統合されていた。

厚労省、待機児童解消へ緊急策

日刊工業新聞2016年3月29日
厚生労働省は28日、待機児童解消の緊急策を発表した。企業に対しては、子ども・子育て支援法改正案と2016年度予算案で始める「企業主導型保育事業」の活用を求める。規制緩和で自治体が支援する認可外保育施設に対し、運営費と改修費を補助したり、幼稚園における長時間の預かり保育に対する支援強化を所管の文部科学省と内閣府との間で検討したりする。

同事業では、複数の企業が事業所内保育施設を整備し、運営を外部に委託して共同で利用したり、企業に勤務する従業員向けの枠が空いたら地域住民への保育受け入れ枠を市区町村の関与なく設けたりできる。

沖縄のリゾートホテル、託児保育サービス

日刊工業新聞2016年2月24日
大和リゾート(東京都江東区)は、自社が運営する沖縄残波岬ロイヤルホテル(沖縄県読谷村)で託児保育サービスを始めた。女性の活躍推進など従業員の福利厚生が主な目的。ホテル利用客も有料で利用可能。3200万円を投じ、ホテルの一部を改装した。「ロイヤルキッズガーデン」として保育士の雇用を含めて自社運営する。

沖縄県は出生率が高く、「社内の他ホテルより女性従業員の比率が高い」(同社)などの地域性に対応した。子育て制度を充実して人材確保と離職防止につなげる。

施設の延べ床面積は約119平方メートル。託児定員は20人。客の利用は3日前までの予約が必要で、料金は3時間まで7000円(消費税別)。今後は同社運営の他ホテルへの展開を視野に入れる。

三菱ふそう、英語が話せるスタッフ

日刊工業新聞2016年2月8日
三菱ふそうトラック・バスは川崎市の本社と工場の近くに従業員向け保育施設を開設した。同社によると従業員向け保育施設は商用車業界で初めて。

国際的な保育施設として運営するため日本語と英語を共に話せるスタッフを配置した。子供が地域の保育園に入れず、育児休業から職場に戻れない従業員の復帰などを後押しする。

保育施設は川崎工場(川崎市中原区)から徒歩2分。対象年齢は0―2歳。定員は15人。企業内保育所の企画や運営を受託するピジョンハーツが運営する。

三菱ふそうはこれまでワークライフバランスの確立を目指し、在宅勤務や育児勤務制度による対象年齢拡大などの子育て支援策を実施している。保育施設開設はその一環で、2014年9月にプロジェクトチームを発足し、計画策定に取り組んできた。

タムロン、社外の子も受け入れ

日刊工業新聞2015年11月2日
タムロンは本社敷地内に設立した企業内保育所「タムロンキッズ保育園」(さいたま市見沼区)の運営を2日に始める。育児休暇取得中の女性社員を中心に、5人が利用する予定。総事業費は約2億円。保育対象は0―5歳児で定員は30人。同社の社員以外にも定員枠を設け、休日は園庭を地域に開放する。看護用の完全個室を設け、看護師が常駐し病児保育にも対応する。

タムロンの小野守男社長は「年間2000万円の予算を充て、保育だけでなく看護も兼ね備えることで企業内保育が完成する」と強調する。社員の仕事と子育ての両立を、企業内保育所の整備などで支援する。同社の女性管理職比率は現在約10%だが、20%に引き上げる意向だ。

トヨタ紡織、初の単独運営

日刊工業新聞2015年5月28日
「勤務時間を1時間長くできた」。トヨタ紡織は27日、猿投工場(愛知県豊田市)敷地内に開設した社員向け託児所「TBっこ(ちびっこ)ハウス」を報道陣に公開した。仕事と育児の両立を目指す社員を支援し女性管理職数を2020年に現状比2倍以上という目標達成につなげる。

同社初の単独運営託児所。本社のある愛知県刈谷市にはトヨタ自動車グループ共同運営の託児所があるが、国内従業員の半数に当たる約5000人が勤務する猿投工場と藤岡工場(愛知県豊田市)周辺にはなかった。

祝日でも会社稼働日なら利用でき、延長料金がかからないなどのメリットもある。2歳の長女を預ける女性社員は「会社に近く、朝7時から利用できるのもありがたい」と笑顔で語った。

日刊工業新聞2016年7月14日