総合労働力調査が示す若者の「人手不足」 飲食業や建設業以外にも広がる恐れ

このような雇用環境の改善には景気回復の他に、人手不足による影響があります。話題になっているのはファーストフードや居酒屋、建設業での人手不足ですが、中期的に見ると今後は、もう少し広い範囲で人手不足が進むでしょう。
図は国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成24年1月推計、出生中位(死亡中位)推計)」で作成した15~64歳人口と65歳以上人口の、前の年と比べた増減(人数)です。(この統計での増減では、64歳から65歳の出入りで人数が2重に数えられていることに注意。)
実は、15歳と65歳の人口差は昨年から今年にかけてが最も大きいものになっているのです。
図は15歳と65歳の人口変化を捉えています。ただ、実際の退職者は60~65歳が多いでしょう。また、働き始めるのは18~22歳前後ですので、どちらの場合もややずらして図の意味を考える必要があります。すなわち、5年前頃から退職者増加が続いていたところへ、若年人口の減少の波が訪れ始めたため人手不足が意識されているのです。
たしかに、ニュースに報道されている人手不足は、若者というキーワードに当てはまる職種のように思えます。
※2014年4月 労働力人口の増減(対前年同月、実数)
15~64歳: -57万人 (男 -29万人、女 -29万人)
65歳以上: +47万人 (男 +23万人、女 +24万人)
若者の労働力が減少する一方で、高齢者の労働力が増えているのです。そして、就業者(実際に働いている人の数)も同様に高齢者が増えて、若年者は減っています。
※2014年4月 就業者の増減(対前年同月、実数)
15~64歳: -17万人 (男 -4万人、女 -13万人)
65歳以上: +43万人 (男 +20万人、女 +22万人)
注目したいのは、15~64歳の男性の就業者数の減少(-4万人)が、労働力人口の減少(-29万人)に比べて顕著に小さいことです。女性もですが、とくに男性・若者の人手不足がはっきりと出ています。(65歳以上就業者の43万人増加も驚きです。)
雇用条件の改善も重要
しかしながら問題は雇用条件です。雇用形態別でみると、男性の正規職員数は前年と比べて7万人減っています(ただし若者だけの統計ではない)。一方で非正規(パートや契約社員)は13万人増加です。すなわち、このような人手不足にもかかわらず、雇用条件は平均的には改善していません。
雇用というと、最近は賃金が注目されがちです。たしかに雇用環境の改善(人手不足)で最低賃金のようなものは上昇するかもしれません。けれども、最低賃金の上昇は必ずしも若者にとって安心の変化とはいえないので、賃金だけではない広い意味での雇用条件の改善が重要でしょう。
その点では、製造業の就業者が増加しつつあるのには少し希望が持てるのですが、先行きはわかりません。
企業は様々な高コストに直面していて、人手不足でも非正規雇用に頼るざるを得ない状況なのではないかと思います。私は雇用制度改革のほかにも、法人税減税、エネルギー問題の解消、企業の社会保障負担軽減、自由貿易TPPなど、政策的に企業のコストを低下させるような方法があると考えています。