新卒採用の解禁ルールは必要? 自由競争のみでは弊害も
今年から経団連に加入する企業の新卒採用面接は6月1日の解禁になった。正直、大学では前期課程の真っ最中であり、しかも試験も近づく時期だ。私はこの時期の採用解禁は、学生にとって酷だと思っている。なぜ、こんな時期に解禁となったのか。その理由と今後の採用解禁時期について、これからしばらく考えていきたい。
経団連が倫理憲章で個別面接の解禁時期を取り決めたのは、2002年のことだ。その前には就職協定が1997年まであった。この間の5年間は、公式なルールはない。
結果、自由競争が進み、新卒採用時期がどんどん前倒しになっていった。2001年ごろには、大学3年になりたての春休みに採用活動をする大手企業まで現れた。このきっかけは、関西地区にある大手メーカーが、大学3年の夏休みのインターンシップで新卒採用を行う、と銘打ったことにある。
関西地区では、神戸に本社を置く大手外資系企業数社が早くからインターンシップを行っていた。そのあおりで、周辺の国内大手企業も古くからインターンシップに力を入れてきた。その中の1社が大学3年夏のそれを採用に使うと打ち出したのだ。
当然周囲の大手企業も負けじと同様な方針を打ち出す。たちまち首都圏にまでその波が伝わり、大学3年での採用がかなり本格化していく。こうして憲章策定直前には、超早期採用がブームとなった。
ただ、結果は惨憺(さんたん)たるものだった。まず、学生にとっては大学生活の半分も終わらないうちに、もう就職を考えることになる。頭がまとまるわけはない。その上、卒業に必要な単位を取るうえでも一番重要となる3年が就活で埋まってしまう。とんでもない学業阻害だろう。
一方、企業側も傷ついた。入社する2年も前に採用したら、企業の人員計画など立てられるわけがない。内定を出しても2年もあるので心変わりする学生が多発する。だからけっこうな欠員が生じた。
こんな状況の中で、今の状況は誰にとっても良くはないと、企業側にルールづくりへの機運が高まり、2002年に倫理憲章が生まれることになる。その後、加盟企業が賛同の署名をし、2004年ごろには拘束力が高まった。
私はこの時の動きを克明に覚えている。採用解禁ルールはやめて自由競争にすればいいという意見をよく聞く。しかし、そうすれば、横並び意識の強い日本の大手企業は、こんなことになってしまうのだ。だから、採用時期のルールは必要悪だと思っている。
