総合転職活動が思うようにできないという人の真相
勤務先に不満があるのに、仕事に追われ、転職をしようとしてもなかなかできない。そのまま、ずるずると月日が経っていく。いつしか、会社の貴重な戦力となっていき、辞めることができない状態に陥る。そういう人は意外と多い。そもそもなぜ、多くの人は転職したいと思いながらも実行できないのか。その理由について、私の会社員時代の経験や、取材先で見聞きすることを参考にしながら考えてみたい。
■実は転職したくない
転職活動をするためには、まとまった準備期間が必要だ。「志望動機」や「転職先の会社でやりたい仕事」などを考え、職務経歴書やエントリーシートにまとめなければならない。ところが、これがうまくなかなか書けない。面接試験のことを想定し、プレゼンする材料も揃えなければならない。これも簡単には見つけられない。こんなことをしている間に、応募の締め切りが迫り、時間切れで結局、あきらめてしまう。これが、転職ができない大きな理由の1つとなっている。
これらの作業がスムーズにできないのは、転職しようとするその会社に興味や関心があまりないからともいえる。強い関心があるならば、エントリーシートに書く材料も、面接で話す内容もたくさん出てくるはず。結局、今の会社に何らかの不満があり、たまたま求人広告を目にして、衝動的に「ここに転職してみようかな」と思っただけなのだろう。そういう気持ちもわからないでもないが、そもそも焦る必要はないのだ。書く材料や話す内容がないのは、「この会社に転職するべきではない」というメッセージだと思ったほうがいい。
■お金(活動資金)がない
転職活動は、ある程度のお金が手元にないと苦戦を強いられる。勤務している会社を辞めて、無職になると、当然、収入がなくなる。貯金などを使って、職を探さざるを得ない。すぐに内定を得ることができればいいのかもしれないが、無職の期間が長くなると当然焦り、精神状態もすさんでしまう。すると、「この会社には行く気はない」と思う会社にもエントリーせざるを得なくなる。ところが、面接にのぞむと心にもないことを話してしまい、内定をもらおうとする。
こういう心理状態だと、内定をもらって入社しても、結果的に、心にもやもやを抱えた状態で、早いうちに不満を抱え、辞めていく。そして、こんなことを繰り返しているうちに、キャリアが破たんしていき、労働市場での価値も大きく下げてしまう。
多少の不満があろうとも、現在の会社には籍を置き、毎月、安定した収入を得ることが必要だ。アルバイトだけの収入では限界がある。1か月、数十万円(額面)の収入が入ってくるルートを確保しつつ、転職先を探すのが安全だ。焦った状態で決断すると、いいことはあまり起こらない。
■大きな仕事を任され責任が与えられる
現在の会社に不満を持ちつつも働かざるを得ない。収入を得ないと、生活が成りたない。こんな日々が続いて、ずるずると月日が流れていく。ここで生じる問題が、大量の仕事だ。20代後半から30代前半になると、任される仕事の量が増える。つまらない仕事でも大量にこなしていくと感覚が麻痺する。転職したいという思いがしだいに弱くなる。
30代前半から半ばになると、課長代理や課長になる人が現われる。責任を与えられると、辞めることに迷いが生じる。責任ある立場になると、仕事がおもしろいと思えるようになる。職場や部署、会社を好きになっていくこともある。たくさんの仕事を時間内で責任をもって処理していくと、不思議と転職をしようとする気持ち消えていく。それは、手ごたえや、充実感、やりがいなどを感じるからだ。
■将来に期待する
大量の仕事をこなすようになり責任ある立場になると、「今度はもっと偉くなりたい」という気持ちが芽生えるものだ。課長になれば「部長になりたい」と願う。部長になると、「役員になりたい」という野心を持つ。30代半ば以降になると、程度の違いはあれ、多くの人がこのような考えになっていく。
課長や部長になると、転職することが難しくなる。毎日の仕事にやりがいを感じ、職場や部署を仕切ることにおもしろさを感じる。部下からも、役員たちからも期待されたり、慕われたりする。取引先からもある程度、配慮をされる。こんな日々が続くと、「この会社って、いいところかもしれない」と愛社精神すら沸いてくる。転職活動をしようとしていたころを懐かしく思うほどだ。これはこれでいい人生ではないだろうか。
今、勤務している会社が嫌で仕方がなく、出社することも苦痛で、精神状態に問題が生じているならば、辞めたほうがいいのかもしれない。一方で、現在の会社に多少なりとも未練があったり、愛着があるのなら、とりあえずは残って仕事を続けてみたらどうだろう。不満が募り、耐えられないと思った時、辞めればいいのだ。退職はいつでもできる。転職活動が思うようにできないのはなぜかということを、時々、本記事のことを思い出して考えてほしい。ここには今後、あなたがキャリアを積んでいく上でのヒントが隠されているはずだ。