就活本番 採用日程の固定化が優先だ

新卒就活本番 採用日程の固定化が優先だ

来年3月卒業予定の大学生を対象にした大企業の採用試験や面接などが本格化している。

  選考開始が6月1日に前倒しされた今年の採用日程は、おおむね好評のようだが、課題も残る。学生が望み通りの職に就けるよう、より良い採用の在り方に知恵を絞りたい。

 多くの大企業は、経団連の指針に基づき、採用活動を展開している。昨年は、選考の開始時期が4月から8月に繰り下がった。その結果、夏以降も就活を強いられる学生が増え、負担が重くなったとの声が相次いだ。

 大企業にとっても、指針に縛られずに内定を出す外資系企業や新興企業に先を越されてしまうという危機感が強まった。

 企業が内定を出す代わりに、他社への就活をやめるよう学生に迫る「オワハラ」も問題化した。

 今年の選考開始が2か月前倒しされたのは、それらの批判を踏まえたためだ。学生の囲い込みが表向きは沈静化し、指針を守る大企業が昨年より増えたという。

 だが、解禁前に面接を済ませ、内々定を出している経団連加盟の大企業は依然、少なくない。5月1日時点で内定を得ていた学生は約3割に上る。これに、内定と内々定を取得見込みの学生を加えると、約5割に達している。

 違反しても罰則がない指針の限界と言えよう。指針の形骸化は、就活のスタートを早める。学生が授業に出席できないなど、学業面への弊害が大きい。

 今年の日程では、選考開始が前倒しされた分、説明会の開催期間が短くなった。学生が企業を十分に吟味する期間が削られた点には、改善の余地があろう。

 経団連は今年の問題点を精査し、来年以降の日程を決める。その際、毎年のように日程が大幅に変わっては、学生が混乱することに留意せねばならない。

 日程が固定されれば、学生は早い段階から計画的に就活に備えることが可能になる。経団連は、採用日程の定着を図り、加盟企業に指針を順守するよう働きかけを強めるべきだ。

 企業が、指針の枠内で採用方法を多様化することも大切だ。

 損害保険ジャパン日本興亜や三菱商事は、選考開始までに帰国できない留学生らを念頭に、7月以降も採用試験を行う。キリンホールディングスは、教育実習と就活の時期が重なる学生のために土曜、日曜にも選考を実施する。

 学生の事情に配慮した柔軟な取り組みをさらに広げたい。