首都圏の自治体、新卒採用の応募者低調 人材確保に知恵絞る

新卒首都圏の自治体、新卒採用の応募者低調 人材確保に知恵絞る

首都圏の就職戦線で公務員離れが続いている。東京都の2016年度採用試験の申し込み倍率は大卒・院卒程度の合計で11.9倍と前年度より1ポイント低下。埼玉県は申込者が1割超減った。各自治体とも応募資格の緩和やPR強化など人材確保に知恵を絞っているが、採用意欲を高める民間企業に学生らが流れる傾向が定着しているようだ。

都で枠が最大の大卒程度の一般方式試験は、採用予定数を744人から674人に減らしたものの、申込者も8126人から7329人に。この区分の倍率は15年度と同じ10.9倍と都としては低水準にとどまった。院卒程度の倍率も16.9倍から13.8倍に急降下した。民間との競合が影響しているとみられる。

都は今月から7月にかけて筆記や面接試験を実施し、8月までに合否を判定する。

倍率が下がっても2桁前後と人気の職場であることに変わりはないが、じわりと公務員離れが進む傾向は他の自治体も同様だ。川崎市は2年連続で志願者が増えているが、市人事委員会は「本当はもう少し数字を伸ばしたい」ともらす。

神奈川県では大卒程度の行政職員120人の募集に対し、応募者は約1700人と昨年よりやや減少した。

埼玉県の申込者は3716人で11%減少。倍率は10.2倍で0.4ポイント下がった。相模原市は全体の申込者数が15年度に比べて300人以上減の1693人と、3年連続で減少。2千人を下回ったのは12年度以来4年ぶりだ。同市は大学での説明会を7校増やし延べ42校にするなど受験者増に取り組んだが「民間への流出を止められていない」(人事委員会)。

こうした状況で各自治体は人材の確保に知恵を絞る。千葉県は16年度の上級試験で新たに社会人経験者を想定した採用枠を設定。経歴や資格などに基づく「プレゼンテーション面接」を導入して多様な能力や経験を持つ人材を発掘するという。千葉市は特に不足する技術系人材への働きかけを強め、特別のパンフレットを用意。冊子にスマートフォンをかざすと女性職員のメッセージ動画が流れるしかけをつけ、女子学生の応募者を増やす試みを始めた。

埼玉県は来春入庁予定の職員採用に向けて、都内で初開催となる「県職員仕事セミナー」を池袋で開いた。他の説明会も少人数の懇談で質問しやすくするなど工夫しているが「民間企業の求人が多い時は応募は減る傾向」という。

神奈川県は15年度から、筆記試験で統計学など理系の問題を増やしたほか、面接も討論からグループで話し合う形式に変更するなど「より幅広い人材を採用できるようにしている」。

応募資格を緩和することで受験者増に成功した例もある。東京23区合同の特別区人事委員会採用試験はメーンの1類一般方式で過去最多の1264人の採用予定に対し、申込者数は2割以上増えて約1万8千人に達した。28歳未満としていた受験資格を32歳未満に引き上げたのが功を奏したとみている。