就活前倒しで留学組困った 大学、秋採用求める

新卒就活前倒しで留学組困った 大学、秋採用求める

今年の就職活動で、面接選考の解禁時期が2カ月前倒しされ6月1日となったことに、海外に留学した大学4年生が頭を抱えている。留学を終えて帰国するのは通常、6月以降になるためだ。やむを得ず留学を切り上げたり、就職浪人を考えたりする学生が続出。事態を重く見た大学側は、経団連や企業に秋採用の実施などを求めている。

「就活のため予定より1カ月早く帰国した。試験が受けられず、留学の単位は諦めた」。昨年秋からスイスに留学していた東京外国語大4年の杉村亜美さん(22)は肩を落とす。

当初は留学先で試験を終えた今年6月中旬に帰国する予定だったが、留学中の昨年11月、経団連が6月1日の面接選考解禁を決定。間に合うよう5月中旬に帰国したものの、「エントリーを考えていた会社のうち5社は既に水面下で選考を始めており、断念せざるを得なかった」と悔しがる。

全学生に1年間の留学を義務付ける国際教養大(秋田市)のキャリア開発センターには、海外にいる4年生から「いつから就活したらいいのか」「今年は諦めるべきか」などの相談が40件以上寄せられた。三栗谷俊明センター長は「就職浪人を検討する学生も多く、影響は深刻」と困り顔だ。

欧米の大学は9月に新学期が始まり、5~6月に終了するケースが大半で、留学生が日本に戻るのは6月以降が多い。就活のために切り上げて帰国すると、留学先で単位が取れなくなる。

留学先の単位は日本の大学の単位に互換できるケースがあり、その場合「留学で単位を取得できないと、日本にいる3年間で4年分の単位を取得する必要がある」(同志社大キャリア支援課)。卒業の可否に影響する可能性もある。

同志社大は例年6月以降に、留学を終えた学生向けの会社説明会を開いているが、今年は多くの企業に参加を断られたという。選考前倒しの影響とみられる。同大は企業に夏以降も採用活動を続けるよう求めているが、反応は良くないという。

留学生が割を食う状況を避けようと、一橋大や早稲田大など6大学の担当者でつくる「大学生のキャリア支援を考える会」は5月、経団連を訪問。6月以降に帰国する学生向けの説明会を増やすことや秋採用を求めた。

日本学生支援機構によると、2014年度の留学生は短期を含め約8万1000人。政府は20年までに12万人に増やす計画だが、面接選考の6月解禁は留学の意欲に水を差す可能性もある。一橋大キャリア支援室の西山昭彦特任教授は「国や経団連は留学生を救済する仕組みを早急に整えるべきだ」としている。

 

▼面接選考の解禁 経団連加盟企業の選考スケジュールは2年連続で変更された。経団連の学業優先の方針で、昨年は面接選考の解禁が従来の4月から8月に繰り下がったが、8月よりかなり前から水面下で採用活動を始める企業が続出。結果的に就活期間は短くならなかったとされる。
このため、経団連は学生の負担を減らそうと昨年11月、今年の解禁を6月に早めることを決めた。今年は人手不足なども背景に、面接解禁から内定が出るまでが短い「短期決戦」とされている。