「男性新入社員に優しいホワイト企業」500社 「CSR企業総覧」で読み解く有望企業

新卒「男性新入社員に優しいホワイト企業」500社 「CSR企業総覧」で読み解く有望企業

就職活動も後半戦に入ってきた。いよいよ6月1日からは経団連所属の大手企業の面接が本格化する。売り手市場と言われる2016年は複数内定を得て最終的にどこを選ぶか悩むことになる就活生も多くなりそうだ。甲乙つけがたい場合は「若手が働きやすい職場」に決めるのもひとつの手だ。その際に判断基準の1つになるのが「新卒3年後定着率」だ。

よく「石の上にも3年」と言うが、日本では、「3年程度は同じ職場で働いたほうがいい」といった考えが一般的だ。多くの職場は新入社員を大事に育てようとしており、実際、優良とされる会社は3年程度の新卒定着率は高い。一方で定着率が極端に低い会社は職場などに何らかの問題を抱えていることも多い。

まだ実力も十分ではない新人時代は働きやすい職場でじっくり実力を蓄えていくという作戦は悪くはない。

85%以上が「優良」の基準

東洋経済新報社CSR評価の「人材活用」部門は全40項目で評価しているが、そのうちの1項目がこの「新卒3年後定着率(男女合計)」だ。業種や採用人数による差もあるので例外も多いが(人数が少ないと1人退職で比率が大きく下がるなど)、過去の経験などから85%以上を「優良」の基準にしている。

このように新卒定着率(または離職率)は就職先選びには欠かせない情報と言えそうだ。そこで、今回は4月に発表した「女性新入社員に優しいホワイト企業500社」に続き、男子学生向けの「男性新入社員に優しいホワイト企業ランキング」を上位500社まで紹介する。

なお、今回の対象は男性のみだが、全500社が我々の考える優良企業の目安「85%」を超えている。就活生にとって魅力的な企業が満載の「宝の山」かもしれない。

ランキングは『CSR企業総覧』2016年版で新卒男性の2012年の採用実績、3年後の2015年の在籍状況の回答があった1011社を対象に作成。このデータは大卒以外も含むことには注意していただきたい。

まず男性が3人以上入社した会社を対象にした定着率をご紹介する。トップは3年間誰も辞めていない定着率100%の会社で163社あった。女性の状況とあわせて2012年4月の入社者が多い順に表示した。

中国電力は187人中離職者ゼロ

定着率100%で入社者がもっとも多かったのは中国電力の187人。『CSR企業総覧』2013年版によると2012年入社は大卒男性が76人。他は高専や高校卒業生などと考えられ、全員3年後も在籍している。ちなみに女性は37人中36人が在籍。わずか1人の離職で全体での100%はならなかった。

続いて田辺三菱製薬の71人、東芝テック53人、ミライト・ホールディングス52人などが多い。49人の住友金属鉱山、48人のブラザー工業は女性も全員定着し全体でも100%となっている。

離職者が多いと言われる銀行では30人が全員在籍している百五銀行、23人在籍の秋田銀行、16人在籍の高知銀行の3行が100%を達成。高い定着率を誇っている。

1人退職したために100%にならなかったのが99.2%で164位の三菱商事(133人→132人)とニコン(118人→117人)。採用人数が多ければ3年以内に方向転換などで数人程度が辞めることは珍しくない。100%の会社だけでなく90%台後半に優良企業が固まっているので注目してほしい。

たとえば、193位のサンデンホールディングス(97.8%)は46人中45人が在籍している。同社はカーエアコンのコンプレッサー世界2位でもう1つの主力商品の自動販売機は街中でよく見かけるのだが、一般には馴染みが薄い会社だ。

しかし、同社の業績は安定しており、フレックスタイムといった働きやすい制度も充実するなど若手も働きやすい環境が整備されている。こうした優良企業がランキング上位には多くある。

このサンデンホールディングスを含む95%以上は全部で297社、90%以上は476社ある。今回のランキングでは最下位でも88.9%と定着率の高い会社がズラリと並ぶ。

対象社数が10社以上の業種で平均定着率がもっとも高かったのは電気・ガス業の97.2%(10社)。ガラス・土石製品94.7%(12社)、ゴム製品93.2%(11社)、非鉄金属92.7%(12社)、食料品92.3%(50社)も高かった。

一方、低い業種は、サービス業70.7%(57社)、小売業70.7%(64社)、精密機器80.1%(16社)、卸売業80.4%(91社)、その他製品81.5%(31社)となった。もちろん業種平均では低くても個別では高い会社もあるので、興味のある業種はじっくり調べるべきなのは言うまでもない。

この「男性新入社員に優しいホワイト企業ランキング」は『CSR企業総覧』掲載情報がベースになっている。この本にはコンプライアンスからダイバーシティ、社会貢献、CO2排出量、生物多様性への対応など多くの企業情報を掲載している。

これらはアンケートで回答してもらっているが、ここに情報を開示する会社は従業員、取引先、地域、環境、顧客などの幅広い面を普段から配慮してビジネスを行っている「信頼される会社」が多い。

これに加えて「3年後定着率が高い会社」は若い社員を大切に育てていこうとしている職場と評価できる。さらに実際の取り組みなどを『CSR企業総覧』で確認すれば、より詳しく会社を知ることができるはずだ。

『CSR企業総覧』は就活に役立つデータの宝庫

最近、大学のキャリアセンターで、複数の内定先から最終的な企業を選ぶ際に、「『CSR企業総覧』を使って最終判断するようアドバイスしている」という声を聞くようになった。

『CSR企業総覧』には有給休暇取得率、残業時間、30歳平均賃金、家庭と仕事の両立支援制度、勤務形態の柔軟化のための諸制度など働きやすさがわかる情報がいくつもある。さらに、内部通報件数やメンタルヘルス休職者数といった特徴的なデータも掲載している。

もちろん、すべての会社が載っているわけではないが、もし掲載されていたら、ぜひこれらの情報もあわせて総合的に最終判断していただきたい。

最後に今回のポイントをまとめておく――。
1. 3年は同じ会社に勤めた方がいいというのが日本社会の一般的な常識
2. 優良とされる会社の多くは新卒定着率が高い
3. CSR評価では定着率85%以上を優良企業の目安と考えている
4. この定着率を基本に『CSR企業総覧』で他のデータも見ていきたい