スタバはなぜ店員研修に40時間も費やすのか 「マニュアルなし」の接客が可能になる理由

総合スタバはなぜ店員研修に40時間も費やすのか 「マニュアルなし」の接客が可能になる理由

毎回様々なジャンルのフロントランナーを招き、キーワードを基にビジネスのヒントを聞く日テレNEWS24・デイリープラネット「飛躍のアルゴリズム」。

今回のゲストは、スターバックスコーヒージャパンCEOの関根純さん。

1つ目のキーワードは「マニュアルなしの接客 秘密は40時間以上の研修にあった」。スターバックスと言えば、従業員の対応の良さが有名だが、接客マニュアルは無し。40時間以上、約2か月に及ぶ研修を受けることが決められているという。この研修ではどのような事が行われるのだろうか。

「40時間の研修」でシェアすること

従業員の対応の良さが有名だが、接客マニュアルは無いそうだ(撮影:尾形文繁)

――研修ではどのような事が行われるのですか。

私どもは、全国で約3万人近くのパートナー(従業員)が働いていて、そのうちの9割がアルバイトの人たちです。その中の6割が学生なので、どうしても入れ替わりがあります。毎年春に、新しい人を受け入れるケースが多いし、途中での入れ替わりもあります。

そういった新しく入ってきた人たちには、まずはブランドに対してしっかりと理解してもらっています。我々、スターバックスには「ミッション アンド バリュー」という社訓のようなものがあり、「コーヒーを通じて人々の生活を少しでも豊かなものにしていく」というような大きなキーワードがあります。そういったものを、本質的に理解してもらうというところからスタートするわけなんです。

それを理解しながら、プロセスを覚えていただく。それに40時間強を費やして、いろいろなことをシェアする。教育というよりも理解してもらうために、これだけの時間を費やしているんです。それが終わると、バリスタ認定というかたちで、初めてお店に立てる。そういうプロセスを大事にしているわけです。

この「ミッション アンド バリュー」という理解の中に、禅問答のようなのですが、あるひとつのキーワード、ミッションを設定します。このような場合、「あなただったらどう考えますか」というような教育のメソッドがあり、それを店長や先輩が教えていく。そういった循環の中で、ブランドのことをしっかりと理解していただくわけです。

――接客では、具体的にどういったことを教えるのでしょうか。

スターバックスコーヒージャパンCEOの関根純さん

「こういったケースだったらあなたはどう考えますか」ということです。私の百貨店時代の話ですが、色々なところから寄せ集まった人が仕事をしているので、言葉もひとつに統一しなくてはなりません。そこで接客用語のようなものを朝礼で唱和したりするわけですよね。

しかし、スターバックスの最初の研修のときに私が「いらっしゃいませ」と言ったら、「関根さん、スターバックスでは“いらっしゃいませ”とは言わないんです」と言われてしまいました。

お客様の状況を察して「こんにちは」「おはようございます」「また、今日も会えましたね」というように、自分の言葉で話すようにしています。

多くのケースを出して「こういう場合、あなただったらどうしますか」ということを、時間をかけて理解をしてもらう。そういうプロセスを経ていくわけです。

「助けを求める」スキルとは?

お客様の状況を察して「こんにちは」「おはようございます」というように自分の言葉で話すようにしている(撮影:尾形文繁)

――助けを求めるスキルを身につけるというのもあるそうですね。

我々はチームでやっている仕事です。店では4~5人の人たちが役割分担をしています。オーダーを聞く人、それをコールして何を作りなさいと指示をする人などがいるわけです。

みんながいきなりパーフェクトでできるわけではないので「困ったら助けを呼びなさい」ということがひとつのスキル・レベルとして共有されています。

そのなかに、困っていたらすぐ助ける、教える、また、褒めるなど、いろいろなプロセスの中で、1人をどんどん成長させていく。それにより全体のチーム力をあげていく……それがうまくいっている気がしますね。