2016年度の外国人留学生採用見込み企業は6割、1000名以上の大企業は7割超

総合2016年度の外国人留学生採用見込み企業は6割、1000名以上の大企業は7割超

企業のグローバル競争が激しさを増し、新興国へのビジネス展開が進む中、優秀な外国人留学生の獲得をめぐり、各企業がしのぎを削る状況が続いている。日本企業は今後ますます外国人を雇用し、活用する必要に迫られている。株式会社DISCOは、全国の主要企業12,795社を対象に、外国人社員(日本に留学している外国人留学生、又は、海外に在住の外国人)の採用に関する企業調査を行なった(調査時期:2015年11月26日~12月4日、回答社数:609社)。

 調査に回答した企業のうち、大卒以上の外国人留学生をいわゆる高度人材として雇用している企業は50.6%と半数を超えており、そのうち2016 年度の採用を見込んでいる企業は57.1%だった。2016年度の採用予定を従業員規模別でみると、従業員数1000人以上の企業では「採用予定あり」が7割を超えているが(71.8%)、1000人未満の企業でも半数を超えており、外国人社員の採用が企業規模に関わらず、かなり浸透してきた様子が表れている。

製造業・非製造業で見ると、2015 年度の実績は「製造」が34.6%、「非製造」が34.1%で大きな差は見られなかったが、2016年度の見込みは「製造」が60.9%と「非製造」の53.3%と大きく上回り、製造業において、より外国人社員採用への意欲が高まっていることがわかる。

2015年度に外国人留学生を採用した企業の採用人数をまとめたところ「1名」という企業が44.1%を占め、「2-3名」(34.4%)とあわせると、全体の8割近く(78.5%)が3名以下にとどまっている。「11名以上」は4.3%だった。ただし、従業員1000人以上の大手企業では「11名以上」が1割を超えるなど(10.5%)、企業規模が大きくなるほど採用人数も多くなる。

平均人数を見ても、大手企業は9.50名で、前年実績(2.79名)の3 倍以上と急増しているのが目立つ。大手企業に牽引される形で、全体平均も2.05名から5.06名へと大きく増加した。採用区分で見ると「文系(学部)」が53.8%、「文系(修士)」が36.6%、「理系(学部)」が32.3%、「理系(修士)」が31.2%と、修士以下では文理とも3割を超えた。博士課程については1割を下回っている。

2015年度に採用した外国人留学生の就いた職種について尋ねたところ、製造業では「研究・開発・設計関連」が37.0%と最も多く、「国内営業」28.3%、「IT・ソフトウエア関連」21.7%と続いた。非製造業では「IT・ソフトウエア関連」が38.8%と最も多く、製造・非製造ともにIT 技術者の人材ニーズの高まりがうかがえる。また、非製造業では「流通サービス・販売関連」(16.3%)が営業職を上回っており、インバウンド対策による需要増を反映した結果と言える。

2016年度に採用対象とする外国人留学生の属性について尋ねると、「日本の大学での学位取得を目的とした正規留学者」が81.9%と圧倒的に多いものの、「語学留学者(母国で大卒以上の学位を取得)」19.7%、「日本の専門学校への留学者(母国で大卒以上の学位を取得)」18.1%と、それぞれ2割弱の企業が母国の大学を卒業していれば採用対象としていることがわかった。外国人留学生のニーズが高まり続けていることで、日本への留学形態にこだわることなく採用したいという考えが表れている。

■外国人留学生を採用する目的と求める資質

外国人留学生を採用する目的を尋ねた。文系・理系ともに「優秀な人材を確保するため」が最も多く、それぞれ68.1%、73.2%。次いで「外国人としての感性・国際感覚等の強みを発揮してもらうため」が続き、文系で46.3%、理系で43.9%だった。一方で、「ダイバーシティ強化のため」が文系で32.5%、理系で31.7%と3 割を超え、社内の体質強化に急ぐ企業の思惑も見てとれる。外国人留学生に求める資質については、文系・理系とも前年首位だった「日本語力」を抑えて、「コミュニケーション力」が1位となった(文系55.1%、理系46.3%)。これは、単に語学力を活用する段階から、語学力を活用して社内外の要衝で力を発揮することを求める段階に深化していると判断できそうだ。

相対的に順位を下げた語学力だが、求められていることに変わりはない。具体的にどの程度のコミュニケーションレベルを求めているのかをまとめた。まず日本語については、内定時にビジネス上級レベル以上を求める企業は、文系44.9%、理系36.0%と4割前後だった。これが入社後には、文系79.1%、理系74.4%と大きく増えることから、かなり高い水準の日本語力を求める企業が多いことがわかる。

採用時に設けるJLPT(日本語能力試験)のレベルも尋ねたが、最高レベルの「N1」は17.6%に過ぎず、7割近く(68.6%)の企業はJLPTの基準を設けていなかった。つまり、基準は設けていないものの、求める日本語能力のハードルは高いということだ。一方、求める英語力のレベルは日本語に比べると若干下がる。内定時にビジネス上級レベル以上を求める企業の割合は、文理とも2 割弱にとどまり(16.4%、18.3%)、入社後は文系46.2%、理系41.5%と半数弱だった。

2015年度に採用した外国人留学生の出身国(地域)は、「中国」が77.9%と圧倒的に多く、「東南アジア」25.3%、「韓国」18.9%と続く。一方、今後採用したい国(地域)となると「東南アジア」が最も多く(76.0%)、「中国」は59.0%で2位。これに「韓国」が25.0%で続く。「東南アジア」は前年調査においても今後採用したい地域の筆頭だった(70.9%)。日本企業の中国進出に伴う中国人材需要が一段落し、人材ニーズが東南アジアへとシフトする中、思うように採用できていない実態が浮き彫りとなった。

■外国.人留学生を採用したことによる社内への影響

外国人留学生の採用実績のある企業に、採用したことによる社内へのさまざまな影響を尋ねた。好意的な影響としては、「異文化・多様性への理解の向上」が71.3%と最も多く、「日本人社員への刺激・社内活性化」69.0%、「グローバル化推進への理解、意識醸成」57.5%と続いた。反面、外国人留学生を採用することにより社内で起きた「問題」としては、「文化・価値観、考え方の違いによるトラブル」66.1%、「言葉の壁による意思疎通面でのトラブル」64.5%、「受け入れ部署の負担増」41.9%が挙げられている。これらの諸問題は表裏一体であり、「問題」に対して組織として取り組むことで、社内のグローバル化、ダイバーシティへの理解がなお一層進むと考えて間違いないだろう。