総合カギは女性部下の管理…ミドル世代「転職戦線」に異状あり
転職市場における「35歳限界説」は今や死語となっている。人手不足の中、企業側もミドル層を積極採用。しかも、この時期は3月定年退職者の補充として中途採用の求人が増える。もっとも、ミドル転職者に求められる条件は、昔のような単純な「リーダーシップ」ではなくなっている。
■定年退職者の補充採用が本格化
40歳以上のサラリーマンにとって、転職するなら今が最大のチャンス。
転職サービス「DODA」によると、2015年上期転職者の平均年齢は31.8歳(男性32.5歳、女性29.3歳)。実数では09年下期以降、増加傾向が続いており、特に「40歳以上」は07年下期に比べ5倍以上の増加だ。しかも、多くの大企業は3月末日に定年退職日を設定しており、2月から3月までは、まさにその欠員補充の選考が行われている。厚生労働省のデータでも、転職者の求人倍率は例年3月になると、ポンと跳ね上がるのだ。
ただし、熱意や成長力が求められる若手の転職と違い、ミドル層が期待されているのは主に管理職としての部下の育成力。しかも、企業側がノドから手が出るほど欲しいのは、「女性を管理できる上司」だ。
NPO法人「WinWin育成協会」の上野恭子理事長がこう言う。
「転職者に求められるトレンドは、女性をうまく管理できる人材です。ダイバーシティー推進や国の女性活用策の影響で、企業は女性に長く働いてもらう方向を目指していますが、現状はその女性部下を正しくコーチングできる上司が少ないからです」
では、どんな人物ならいいのか。訪問介護ステーションで役員を務める男性Aさんの例が参考になる。
「利用者の信頼は厚いが、会社の方針に不満を漏らす看護師がいました。退職も考えているという看護師を説得するため、Aさんは彼女と面談をした。その際、会社の方針を押し付けるのではなく、『なるほどね』と話の聞き役に徹し、その上で『会社の考えはこうだが、どうしていきましょうか』と“共に考える”という協力の視点で会話しました。男性部下のように理路整然と納得させるのはダメ。『なるほど』が大事なのです」(上野理事長)
■“共感タイプ”が人気
男の部下なら適切な指示をするだけで事足りるが、女性部下には指示よりも共感する姿勢の方が大切になるようだ。
「ただ、今の男性上司は女性部下に気を使いすぎです。だから女性が甘えている。四六時中、褒める必要はなく、朝に作業の手を休めて挨拶する程度で十分。女性は自分を否定されるより、無視されるのが一番つらい」(上野理事長)
職場に女性が増えたことは、「理想の上司」の変遷を見ても明らかだ。昨年の産業能率大の調査では、1位が松岡修造、2位は池上彰だった。一方、18年前の98年は長嶋茂雄、野村克也、北野武といった絶対的なカリスマとリーダーシップを持つ人物が並んでいた。
つまり、中途採用の選考では、松岡や池上のようなタイプの受けがいいことになる。女性が好感を抱く上司像にはほかに、「清潔感がある」「えこひいきしない」などがある。
実績を誇るより、誰とも分け隔てなく話せる人。もっとも、面接官に向かって「それはいい質問ですね」と偉そうに言ってはいけない。