総合データ分析に基づく採用プロセスの利点とは?
採用プロセスにデータ分析を導入することで、より信頼に足る客観的な人材雇用が可能となる――。全米人材マネジメント協会のオンラインエディターを務めるロイ・マウアーは、アナリティクス専門家らの知見を紹介して、企業の人事担当者にデータ分析に基づく採用プロセスの導入を推奨している。(以下、記事より編訳)
「直観と主観的プロセスは、リスクが大きすぎる」
あなたの企業は、最良の採用判断を下すための信頼できる客観的な方法を探しているだろうか?
データ・アナリティクス(分析)を利用することで、企業は人材獲得機能をより有効なものとし、それぞれのポストに必要とされる仕事能力を測定し、さらに採否を決める前に候補者のポテンシャルを見極めることが可能となる。
「リクルーティング関連のデータは、増収などのビジネス成果と相関可能だ」と、カナダ・トロントの人材テクノロジー会社アイディール・キャンディデートのジア・ミンは言う。「これにより、リクルーティングがビジネス内における戦略的機能の1つとなる」
また米人事コンサルティング会社PANのエリン・ウッドは「質の悪い採用判断には多くの弊害がある。その人材に多額の給与を支払うだけでなく、さらにコストをかけて代替人材を雇う必要があり、さらに企業全体の評判が傷つく可能性すらある」と指摘する。「これほどリスクの大きい判断を、直観と主観的プロセスに基づいて下しているのは、驚くべきことだ」
リクルートメントの有効性を計測する
リクルートメントの有効性とは、採用候補者が仕事に応募してから採用通知を受領するまでの一連のプロセスの出来栄えのことである。この有効性をデータ計測する一般的な方法は、採用毎のコスト(cost-per-hire)、採用プロセスの時間(time-to-fill)、採用のクオリティ(quality-of-hire)、離職率(turnover rate)の計算などだ。他にも計測可能な分野は複数ある。
「たとえばスクリーニング(予備審査)を経た人数と、最終的に面接に進む人数をモニタリングすることで、ギャップの特定が可能となる」とウッドは述べる。「スクリーングで候補者を落としすぎているか? それとも反対に人数を残し過ぎて、採用マネージャーの時間を過剰に浪費しているか?」
「人材データを蓄積してマッチング・アルゴリズムを作れば、候補者を事前に効果的に選別することが可能だ」とミンは指摘する。「手動プロセスに比べて採用期間を短縮すると共に、採用判断の弊害となる無意識バイアスを取り除き、雇用クオリティを改善することができる」
「ハーバード・ビジネス・レビューが実施した調査では、アルゴリズムは、優秀な従業員を選別する精度を50%以上向上させた」(ミン)
必要な仕事能力を特定する
人事部は人材アナリティクスを利用することで、必要とされる仕事能力を測定できる。「ある特定の仕事に重要な資質(自発性、適応能力、金銭感覚など)は、現職者やその監督を務める管理職を評定すれば分析可能だ」とミンは言う。
どのような資質が、ある特定の仕事の成功を左右するのか? このレビューを職務毎に徹底的に行うことで、雇用主は新しい人材に何を求めるべきなのか、そしてそれを達成するためにはどのような資質が必要とされるのかを明確にすることができる。「これらの重要な資質を知ることが、ファウンデーション(基礎・土台)となる。採用プロセスは、これを土台として作り上げていくものだ」とウッドは述べる。
構造化アセスメントの価値を知る
構造化アセスメント(structured assessments)とは、性格テストや認知テスト、構造的化面接(あらかじめ定めた手順、質問内容、評価基準などに則って進める面接)などを指す。
「過去の研究や理論に基づいて、有効性が立証済みのアセスメント・ツールを利用することを私は推奨する」とミンは述べる。「有効性や信頼性とは統計的概念だ。そしてそれらは統計学の専門家でなくとも理解可能なものだ。だがどんなアセスメントを利用するにせよ、それが精神測定や産業心理学、統計学などに関する広範な知識とトレーニングを有する人によって開発されたものであることは請け合うこと」
多くの企業はいまだに標準化されたリクルーティング・プロセスを持たない、とウッドは指摘する。「構造化されたプロセスの必要性は、研究によって明白に立証されている。それにも関わらず、多くの雇用主はいまだに無計画な面接を行い、候補者毎に異なる質問をして、『さあ、あなたのことを教えてください』というお喋りばかりしている」
その代わりに、「採用マネージャーはジョブ・アナリティクスの測定結果を利用すべき」とウッドは語る。必要なのは、候補者の仕事能力を測定するための標準化された10~12の質問だという。「一貫性のある質問をすることで、データをより有効に活用して、同一条件で候補者を比較することができる」
「構造化された採用プロセスの導入は、候補者と企業の双方から反発を受ける。彼らは構造化されたプロセスは、非人間的で退屈だと思っているのだ」とミンは述べる。「私は彼らにこう答えることにしている――あなたは楽しい採用プロセスが望みですか? それともベストな人材を採用したいのですか?」
適切な構造化面接を実施するためには、多くの事前準備が必要だ、とミンは述べる。「質問事項を発展させ、明確な評価システムを作り、面接者のトレーニングを行い、常にプロセスに磨きをかけていく必要がある」