「大卒30歳平均賃金」ベスト100社ランキング 「CSR企業総覧」で読み解く有望企業

総合「大卒30歳平均賃金」ベスト100社ランキング 「CSR企業総覧」で読み解く有望企業

『CSR企業総覧』という分厚い本をご存じだろうか? 総ページ数2568ページに1325社のCSR(企業の社会的責任)情報がびっしり詰まっている刊行物だ。

CSRというと社会貢献や環境活動のイメージが強いかもしれないが、この本には各社の賃金・各種諸制度、女性活用・ダイバーシティ、有給休暇や家庭と仕事の両立支援など雇用に関する情報がたくさん掲載されている。これから就活を開始する学生の皆さんにも見ていただきたい有望情報が満載だ。
今回から複数回に分けて、この『CSR企業総覧』に掲載しているさまざまな就職に役立つ情報を主にランキング形式でご紹介していきたい。

賃金がわかれば生活がイメージできる

第1回目の今回は「大卒30歳平均賃金」だ。ランキングは100位まで紹介。データは基本的に大卒・総合職の「実在者平均の月例賃金」だが、一部例外もある(ランキング下の注記を参照)。「注」には各社の特殊要因、さらに「最高」、「最低」の金額も開示がある場合は掲載した。

30歳といえば、大卒で8年、大学院(修士)修了で6年程度の勤務となる。仕事にも慣れチームのリーダーとして活躍し始める時期でもある。中には家庭を持つ人も出てくる。徐々に支出も増え、それなりの収入は必要になってくる。事前にこの時点の賃金がわかれば、将来の生活もイメージしやすい。

一般的に初任給はどの会社も示すが、その後の給与水準は外部には出さないケースが多い。「大卒30歳平均賃金」のような開示義務のない賃金データをCSR情報として出す会社は「従業員の生活を気にしている」と考えてよい。金額にかかわらず開示すること自体が「優れた会社(東洋経済では「信頼される会社」と呼ぶ)」の評価ポイントとなる。

CSRでは、会社を取り巻く関係者(「ステークホルダー」という)を意識して企業活動を行い、情報を開示することが大切とされている。有力なステークホルダーである従業員と将来の従業員(大学生や中途採用候補者など)を気にかける会社はほかの面でも「信頼性が高い」ことが多い。

給与の金額はもちろん高いに越したことはないが、これまで評価項目として使ってきた経験では首都圏や関西圏などの都市部では「30万円以上」が比較的待遇がよい優良企業の目安と考える。ただ、「注」もあわせて読んでもらい、基本給以外が多く含まれている場合は若干割り引いて考えた方がよい。

1~4位は50万円を超える

ところで、金額が多すぎる場合は少し注意が必要だ。ランキング1位のKDDIから4位の野村総合研究所まではいずれも50万円を超えている。特に「注」の情報はないが基準が若干異なる可能性もある。

ランキング上で気になる会社があれば、上場企業なら基本的に開示されている平均年収・平均年齢との比較をしてほしい。まず平均賃金を12倍する。そこからボーナス額を加味(たとえば、春夏2カ月分と仮定して年間4カ月を足すなど)した金額を平均年収と比較。

さらに平均年齢が30歳とどのくらい離れているかも見て妥当性を判断する。平均年収は大卒以外の社員も含まれるので学歴による差にも注意したい。

なお、「最高」金額が極端に高い会社は営業などの出来高部分が比較的多い給与体系と考えられる。「最低」金額が極端に低い会社は休職中社員などが該当するケースが多い。「差が小さい平等な会社」がいいのか、「成果が上がればドカンともらえる会社」がいいのかは個人それぞれの判断。じっくり考えよう。

さて、ここまで読んで「ひとつのデータを見るだけでこんなに気にしなければいけないのであれば全社同じ基準で調査して欲しい」と思った人も多いかもしれない。

しかし、残念ながら開示の基準を示しても(もちろん『CSR企業総覧』の調査でも示している)各社の事情によりそのベースで出せないことはよくある。その際、「ベースが異なるため開示しません」と言われるよりも、可能な範囲で出していただくほうが意味はあると考えている。

『CSR企業総覧』はほかでは見ることができない情報が多い。この「大卒30歳平均賃金」も600社以上が開示している。これは開示の基準の自由度を高くしていることも要因のひとつだ。

このように『CSR企業総覧』掲載データは開示基準が多少異なる項目があり、データを使う側には読み解く力が求められる。こうした点が大学生を対象にできるだけ誤解のないよう親切に編集している『就職四季報』と異なるところだ。

ただ、こうしたバラつきは法律などで義務化されていない開示情報では一般的な話だ。これから社会に出て活躍される皆さんは、このような情報も読みこなしていくことが求められる。就活をきっかけに学生の頃から気にしていれば将来きっと役に立つはず。実際にはほんの少し注意すれば問題ないことがほとんどだ。こうしたノウハウ的なところも今後ご紹介していきたい。

上位100社は30万円超

今回のランキング上位100社は30歳時点で30万円以上もらえる会社ばかり。普通の生活をするのであれば金銭的に厳しいことはないだろう。社会人としての経済基盤は安定し、仕事に集中できる環境と考えてよい。さらにこれらの会社の事業内容や働きやすさなどの情報を見ることでより深い企業研究ができる。

さて、この『CSR企業総覧』自体は価格が29160円(税込み)もするため、通常は個人で買うものではない(過去に就活用に個人で購入した女子学生と会ったことがあるが……)。ぜひ、大学の図書館などで見ていただきたい。

ほかにも「東洋経済デジタルコンテンツ・ライブラリー」というサービスが導入されている大学も多い。これを使えば『CSR企業総覧』をはじめとする東洋経済のさまざまな媒体をPCなどで見ることができる。自宅のPCやタブレットなどでも使える大学も多いのでぜひ確認してほしい。

これから始まる就職活動。『CSR企業総覧』に掲載されている1325社の詳細情報で有利に就活を進めてほしい。

最後に、今回掲載する「大卒30歳平均賃金」のポイントをまとめておく。

1. 開示する会社は信頼性が高い

2. 都市部では「30万円以上」が優良企業の目安

3. 注は必ずチェック

4. 平均年収との比較も大切

※次回は、ほかではまず見ることができない年代別比率(50歳台、40歳台等)ランキングをご紹介する。