総合ブラック企業の求人は門前払いに 来春からハローワーク
働き手を酷使する「ブラック企業」の求人は門前払いに――。厚生労働省は25日、法令違反を繰り返す企業からの求人をハローワークで受け付けなかったり、正しい就業情報を企業に提供させたりして、若者の採用後のトラブルを防ぐ新制度の詳細を決めた。来年3月から運用が始まる。
新制度は、10月から順次施行されている青少年雇用促進法に基づく。ハローワークでの求人は原則、企業が出したものはすべて受け付けなければならなかった。だが新制度では「ブラック」な企業の求人は受理しないようになる。違法な長時間労働や残業代を払わないといった違反を1年間に2回以上、労働基準監督署から是正指導されるなどした企業が対象となる。
企業が新卒者を募集する場合には、「過去3年間の採用者数と離職者数」「残業時間」「有給休暇の実績」といった情報を提供するよう法律で努力義務を課し、新卒者やハローワークなどから要求があった場合は情報提供を義務づける。民間の職業紹介事業者にも同様の対応を促す。
■苦情1万2千件
実態と異なる情報で求人することは、職業安定法で罰則規定が設けられているものの、悪質な事例は後を絶たない。全国のハローワークで2014年度、求人票の記載内容についての苦情は1万2千件あり、前年度より3割増えた。実際の賃金や就業時間が求人情報と違うという内容が多い。
民間の職業紹介事業者でもこうしたケースは多い。大手コンビニをフランチャイズ展開する東京都内の会社を11月に退職した女性(25)は今夏、長時間労働によるストレスで休職に追い込まれた。働く店が変わった5月から忙しくなり、6~8月は残業が毎月100時間を超えた。立地の悪さでアルバイトが集まりにくく、午前8時から午後10時までの勤務が続いた。
残業が増えても給与は20万円のままだった。不思議に思って給与明細を確認すると、本給15万円と営業手当などとして5万円とあった。営業手当がいわゆる「固定残業代」だと後に会社側は主張したが、就職活動時に説明はなかった。就職活動で使った民間の求人サイトには、入社した会社の親会社の名称で、「勤務時間が午前8時半~午後5時半」とあり、給与は20万円とされていた。
女性は「販売職では平均的な給与や勤務時間だと思って応募した。実際と違う求人情報でおびき寄せるなんて許せない」と憤る。
新制度でこうしたトラブルは防げるのか。NPO法人POSSEの今野晴貴代表は「ルール作りは大切だが、実効性は乏しい」と指摘する。労基署が法令違反をすべて把握できるわけではなく、仕事を探す側の学生らが情報提供を要求する例は限られるとみるからだ。