総合中小企業における離職率、中途は3割、新卒は4割
厚生労働省が2015年8月に発表した全国有効求人倍率は1.21倍となった。これは1992年3月以来の高水準で、バブル崩壊前の値とほぼ同様。東京都に至っては、全国最高値の1.76倍となっている。今や労働市場が「買い手市場」から「超売り手市場」へと完全に移行し、本格的な人手不足に突入したことを示している。
アベノミクスによる賃上げによって、激しい人材流動化の時代が始まった今、従業員はより良い労働環境を求めて職場を移ることをためらわなくなることが予想される。人材の採用力や定着率に無頓着な経営者、超売り手市場という現実を実感していない会社は、人手不足によって廃業に追い込まれるリスクを負うことになる。
とりわけ知名度で大手企業に勝てない中小・ベンチャー企業にとっては、「人的倒産リスク」が増大する深刻な時代に突入したことを重く受け止めなければならない。
実際、離職率の高さは深刻で、中小企業庁の調査データ「中小企業・小規模事業者における就業者の離職率(3年目)」をみると、中途採用においては約3割が、新卒採用においては約4割が離職しており、とりわけ小規模事業者の新卒採用においては約6割が3年以内に離職している。定着率と採用力を上げて人が辞めない会社にするための正しい投資とは何かを、今こそ真剣に考える必要がある。
■日本の労働生産性はなぜ低いのか?
OECD加盟の先進34か国中で「日本の労働生産性は極めて低い」と指摘されている。実際、主要先進7か国では1994年から20年連続で最下位。しかし日本人は決してパフォーマンスが低くて無能なわけではなく、これは日本の職場での労使の関係性に起因している。
しかし2016年4月から社員に年5日分の有給休暇を取らせるよう企業に義務付ける方針が厚生労働省から示されるなど、働きすぎを防止する方向に時代は変わりつつある。くわえて、2019年4月からは労働法の改正により、60時間超の残業代が実質値上げに。しかも最低賃金は全国平均で18円上がる見込みで、みなし残業代への影響は必至だ。
■人事評価制度がホワイト企業の証
人事評価及び、あした(次世代)のHRに関するシンクタンクの「あしたのチーム総研」は、人事評価制度導入企業及び、検討した企業会員からリアルな声を集め、調査し、ユーザーの声を社会に発信する活動などを行う以外に、人事に関わる最新動向や先進事例が学べるセミナーを開催している。
同社によると、こうした変化の中で企業が業績を上げていくためには、就業時間内での従業員のパフォーマンスを上げ、労働生産性を高めていくしか手段はないという。
個々のパフォーマンスを上げていくために必要なのは、目標管理に紐付く従業員への人事評価制度の導入。未払い残業問題や不当な長時間労働が日常化するブラック企業に人が集まらず、離職が進むのは当たり前。
そして正当な賃金・給与を決定するための人事評価制度をもたない企業は、ブラック企業と位置づけられても仕方ない。それほど人事評価制度というファクターが企業経営において重要性を帯びてくることは間違いないのだと、「あしたのチーム総研」は指摘する。
人事評価制度の運用によって有能な社員の離職を防ぎ、その結果、企業業績を格段にアップさせることが可能だということを、経営者は知っておいたほうがよさそうだ。