就職先の給料や休暇、どう調べればいいのか 「就職四季報 総合版」の見方・使い方

新卒就職先の給料や休暇、どう調べればいいのか 「就職四季報 総合版」の見方・使い方<2>

『就職四季報』の年収欄には各企業の「平均年収」と「平均年齢」の2つが掲載されている。これは掲載の年齢時に年収がいくらなのかを示している。

学生が就職先を選ぶ時に、仕事の内容、やりがいなどを気にするのは当然だ。最近は、いかに社会貢献できるかといったことにこだわる学生も多い。

しかし、年収もとても重要だ。年収が低すぎれば生活設計ができない。また、年収が高いということは、その企業が多くの利益をあげていることを示すため、年収が高い企業は経営力があるともいえる。

さらに、企業がいかに社員を大切にしているかということも表す。なかには業績好調であるにもかかわらず、年収の低い企業があるので注意していただきたい。

初任給の高さだけを見て喜ぶな

年収は業界ごとに格差があるので、同業他社で比較しよう。東洋経済新報社の調査では年収の一番高い業界は総合商社で1142万円。一方、年収の一番低い業界は介護で382万円(『会社四季報 業界地図』2016年版)。業界が違うと平均年収に大きく差が出るため、異なる業界の会社の年収を比較しても意味がない。

平均年収と平均年齢の関連にも注意しよう。年収600万円としても、30代でもらうのと、40代でもらうのではまったく違う。子供の教育費などお金がかかる時に年収が高くないと、生活は苦しい。

初任給を気にする学生が多いが、就職四季報には「初任給」の欄がある。初任給とは新卒者に支給される1カ月分の給与のことで、学歴や一般職・総合職といったコースごとに金額が異なる。

地方の会社よりも東京の会社、日本企業よりも外資系のほうが高いといった傾向もある。また、業界ごとの相場があるので、同業他社で比較しよう。違う業界の企業の初任給を比較しても意味はない。

厚生労働省の2015年賃金構造基本統計調査によると、大卒の平均初任給は20万2000円で、修士課程修了者の場合は22万8500円となっている。初任給の絶対額が多いか、少ないかを判断するときには、これらの水準が目安となる。

ちなみに、平均年収で全業界トップの総合商社だが、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅の大手5社の初任給は完全横並びで20万5000円。平均より3000円高いに過ぎない。

注意してほしいのは、初任給が高くても、その後、賃金があまり上がらない企業があるのということだ。入社後に給料がどの程度増加するかどうかを調べる指標が「昇給率」。30歳賃金が初任給に比べてどれだけ上昇したのかを示している。

海運大手の商船三井のように昇給率が200%を超す企業がある一方で、110%以下の企業もある。30歳となって責任のある仕事を任されていても、給料は新人とあまり変わらないという企業もあるのだ。

「有休消化年平均」で実休暇日数を把握

日本企業の場合、会社の制度として有給休暇があっても、有給休暇を全部使うのはの難しい。有給休暇を取る権利はあっても、忙しくて取れない、または職場の雰囲気で取れないということがある。

企業のHPや会社案内のパンフレットをチェックして有給休暇の日数が多くても、喜んではいられないのだ。そこで、就職四季報では、1年間に実際に消化した有給休暇の日数を掲載している。その日数が「有休消化年平均」だ。

日本企業の有給休暇日数の平均は20日で、消化率のメドは50%。1年間に10日程度有給休暇を取れていれば、平均的な企業といえる。

ただ、メーカーの場合、夏のお盆の時期に一斉休業となることが多く、これも有休休暇の消化日数に換算される。会社が一方的に休みを決めてしまうわけだ。お盆の時期に出社するから、違う時期に休ませてくれと言っても認めてくれないだろう。学生と違って、社会人になると休みを取る時期が制約されることがある。

また、就職してすぐには必要ないかもしれないが、ある程度の年齢になったときに重要となる休暇が「介護休職」。

就活生の親世代は50歳程度なのでまだ若いが、10年、20年と経過すると介護が必要になることもある。今の若い世代は一人っ子が多いので、自分の親だけでなく結婚相手の親の介護も考えなくてはならない。

ほとんどの就活生は、まだ親の介護など考えたことがないかもしれないが、実は切実な問題だ。高齢化社会では、介護のために休まなければならないことがある。介護休暇は非常に重要だ。

国の規定を上回る休職期間か

育児・介護休業法では介護休職期間は対象家族1人につき93日。『就職四季報』に掲載されている数字がこの数字を上回っているかをチェックしよう。

『就職四季報』総合版に掲載されている企業は大手が多いので、休職期間が育児・介護休業法の規程を上回って1年間となっているケースが目立つ。しかし、就職人気の高い有名企業でも93日という場合がある。企業イメージにとらわれず、しっかりと数字を確認するべきだ。

実際に介護休職を取得した人数のチェックも忘れてはならない。介護休職期間とともに記載されている人数は、直近1年間に休職した人数を表す。制度上は2年間も取得できることになっていながら、実際に取得した人は0人というケースもある。素晴らしい制度があっても人数が少ないということは、何らかの理由で利用しにくい可能性があるので注意していただきたい。