総合若者の正社員増加、4~9月の比率71.8% 介護など採用
正社員の若者が増えている。15~24歳の働く人(学生を除く)に占める正社員の割合は2015年4~9月に71.8%と前年同期より0.7ポイント上がった。比べられる02年以降では最高で、人手不足に悩む医療・介護や製造業で増えている。年功序列や終身雇用の「日本型雇用システム」はきしみが生じて久しい。とはいえ、正社員は非正規社員より賃金が高く、生活の見通しも立てやすい。個人消費や出生率の上昇を後押しする期待もある。(山崎純)
総務省の労働力調査によると、学生を除く15~24歳の正社員は4~9月期に264万人となり、前年同期より6万人増えた。前年を上回るのは2年連続となる。男性は中卒と高卒、女性は大卒が中心で、それぞれ3万人と2万人増えた。
産業別に見ると、医療・介護・保育で女性を中心に8万人増えたことが目を引く。介護や保育を手がける学研ココファンホールディングス(東京・品川)は4月に51人の新卒正社員を採用した。前年より8割多い。今後も人手不足が続くなか「長期的に働いてくれる戦力として新卒採用に力を入れた」(同社)という。契約社員700人も正社員に切り替えた。
■人手不足続く
製造業も男性を中心に5万人増えた。トヨタ自動車は15年度に工場で働く期間従業員から300人以上を正社員に登用する。前年度の3倍に増やして優秀な人材を囲い込む。建設業の正社員も4万人増えた。中堅ゼネコンの大日本土木は4月の新卒採用が23人と前年の3倍に増やした。20年の東京五輪に向けた建設需要の高まりで、「仕事量に対して人材がまったく足りない状況」(同社)という。
日本総合研究所の山田久調査部長は「企業が若い人を正社員で囲い込む動きは当面続くだろう」と見る。少子化による人手不足が続いているためだ。待遇の改善も進んでおり、厚生労働省によると15年春入社の新卒学生の初任給は大卒が20.2万円、高卒が16.1万円でともに2年連続で増えた。
若い世代の正社員が増えることは、将来の日本経済にとってプラスになりそうだ。正社員は雇用が安定しているうえ、平均給与が478万円と非正規の170万円を大きく上回る。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「若い正社員が増えれば、将来の消費を押し上げるほか、結婚や出産を後押しする効果も期待できる」と指摘する。
■賃金上昇に差
ただ、厚労省の賃金構造基本統計調査によると、医療・福祉や建設業、製造業の平均年収(全世代)は、正社員が多い男性で見ても330万円前後で、金融・保険業(466万円)、教育・学習支援業(436万円)より低い。初任給に大きな差は無いが賃金カーブが小さく、中年で差が開きやすいためだ。
正社員になることで雇用は安定するものの、年功序列による賃金上昇の恩恵は受けにくくなっているとの見方も強い。
