新卒就活解禁6月は授業期間のまっただなか
朝礼暮改の 6月前倒し、かえって混乱招く恐れ
経団連が、大学生の就職活動日程について採用面接の解禁時期を現行の8月から6月に前倒しを決めた。今年、解禁時期を8月に後ろ倒しにしたばかりで、2年連続の見直しという異例の事態となる。
そもそも日程繰り下げは、研究や学会などと就活時期が重なり、肝心の学業に専念できないと学校側から不満が噴出していたことに対応した。留学から帰国した学生の就職活動に配慮する狙いもあって、2013年に政府が経団連に要請した。それを受けて経団連が指針を見直した。
ところが、例年と比べて4か月もの後ろ倒しには、企業と学生の双方から不満の声があがった。経団連が行ったアンケートによると、加盟企業の87.9%が「採用に悪影響があった」と回答し、日程見直しを求める意見は80%に達した。加えて、就職情報会社が、来春卒業予定の大学生・大学院生を対象に実施した調査によると、8月解禁の影響をマイナスに受け止めたのは79.3%。プラスに評価したのは20.7%にとどまっている。
マイナスの理由としては、「暑い時期に活動」「卒論など学業の妨げ」「水面下で動く企業があり、状況が把握しづらい」「就職活動が長くなった」「先輩の就活経験が生かせなかった」などだった。
経団連の会員以外の中小、外資系企業は早めに面接を行い、内定を出す動きが相次いだ。従来、大企業、中小企業の順だった選考時期が逆転した形だ。
その結果、学生を囲い込み就活を無理やり終わらせる「オワハラ(就活終われハラスメント)」が横行、大企業の内定を得た学生が、決まっていた中小の内定を辞退するケースが増えるなど混乱した。内閣府の調査では、オワハラを受けた経験について、大学生の20.6%が「ある」と回答している。オワハラには、「ナビサイトの登録をキャンセルしろと言う」「目の前で他社に断りの電話を入れろと求める」など、学生の職業選択の自由を侵害する行為が該当する。
今年の採用方式では、中小企業の苦戦が目立ったことを受け、その代表である日商の三村会頭は「このまま継続するのはまずいと思い、勇気をもって改定する提案をした」と面接解禁止の見直しを求めた。こうして提案されたのが、6月への前倒しだ。
経団連の榊原会長は、「5月だと、説明会開始の3月からの時間が短い。7月も一つの選択肢だが、暑い、長期化しているといった指摘もある」と回答した。その上で「6月15日というのも考えられる」としている。
しかし、これにも懸念が集まっている。6月は授業期間の真っ最中だからだ。6月に早まれば、単位取得に支障がでたり、教育実習を諦める学生も出てきかねないという。
海外留学への影響を懸念する声も強い。たとえば、日本経済新聞によると、一橋大の藤本研司キャリアアドバイザーは、海外留学した学生は5~6月に帰国するケースが多い、と述べている。大学側は国際化に重点を置いており、藤本氏は「留学生が不利にならないよう配慮してほしい」と話す。
今回の混乱の原因には、日本で長年続いてきた新卒の一括採用があると指摘される。通年採用の活用なども含めて多様なあり方を探ることが求められるだろう。