総合若手不足で大流行 中途「ポテンシャル採用」成功への面接術
リーマン・ショックで新卒採用を絞ったため、企業は若手が不足。そこに東京五輪を見据えた建設ラッシュや中国人の爆買いなども重なって、人手不足感が強まっている。そのため、即戦力を求める中途採用でも、ポテンシャルを見込んで業界未経験の30代を採用するケースが相次いでいる。
保険営業のKさん(52)は昨年、食品業界出身の男性(34)を中途採用した。畑は違うが、営業一筋。法人も個人もこなし、面接でのセールストークは滑らか。「生活に密接する食品業界はやりがいがあるが、収入が低い。営業経験を生かし、金融分野でステップアップしたい」という熱意を買ったという。
「ウチの営業は、新規顧客の開拓がメーンの仕事で、彼なら金融知識が少々足りなくても、トークでカバーできると思ったのです。それに、早稲田出身で、友達つき合いもいいらしい。友人を足掛かりに契約を広げていけばいいと思ったのです」 ところが、友人に「別の保険に入っている」と逃げられると、資料の説明をなぞるだけで、相手に合わせた説明ができなかった。
「保険の仕組みを教えても、覚えるのが遅くて仕事に生かせない。業務報告書に書くべき内容もスカスカ。そのくせ、『トップ3だった』という前職の栄光にすがり、仕事ぶりを改善しようとしない。結局、結果を出せず、7カ月で辞めました」
■アタリの採用率は2~3割程度
厚労省の有効求人倍率が1倍を超えるほど人手不足感が強く、建設や介護など定番の業種で人手不足が目立つが、帝国データバンクの調査では、放送、情報サービス、医薬品・日用雑貨品小売りがトップ3。人手不足感はあらゆる業界に広がっているようだ。中途採用でも、ポテンシャル採用するのは、そのためだ。
ビジネスコンサルタントの新田龍氏が言う。
「中途のポテンシャル採用は、JR東日本が行ったことで、取り入れる企業が広がっていますが、アタリの採用率は2~3割です」
少ないアタリを確実につかむにはどうするか?
「ポテンシャル採用でも、営業から営業のように職種は同じことが多い。たとえば営業なら、商品の客層、価格帯、売るまでの期間の3つにより、仕事のスタイルが全く違います。食品は主婦がメーンで、価格が安く毎日売るもの。一方、SUVの車を買うのは主に男性で、安くはないから、信頼関係を築いて長期的に売る戦略を練る。一口にトップ営業マンといっても、仕事ぶりは全く違います。マーケティングもそう。ある会社では、商品の売り上げデータを分析するだけでも、別の会社ではもう一歩進んで販売戦略まで描く。このギャップを埋めるには、面接で応募者の実績を掘り下げて聞くことが大切なのですが、ポテンシャルを重視するあまり学歴などの表面的な情報に惑わされていることが少なくないのです」(新田氏)
中途採用でも、ポテンシャル重視だと、職務経歴書も履歴書も求めることが甘かったりする。これを改めてキッチリ書かせた上で、応募者が面接で前職の売り上げをアピールしたら、それが会社にどれだけの利益をもたらしたか問いかける。あるいは、その実績をなぜ捨てて、転職したのか尋ねるのだ。