なぜリクルートの人は卒業後活躍できるのか 「どこでも通用する人」に変わる3つの口ぐせ

総合なぜリクルートの人は卒業後活躍できるのか 「どこでも通用する人」に変わる3つの口ぐせ

「人材輩出企業」と呼ばれるほど、出身者がさまざまな業界で活躍するリクルート。なぜ、リクルートでは、業界を越えて活躍するような優秀な人材が次々と育つのでしょうか。

そんな疑問に、24年間リクルートに勤めた高橋厚人氏(『「どこでも通用する人」に変わるリクルートの口ぐせ』(KADOKAWA)の執筆にも関わる)が答えます。

リクルートは、今年で創業55年を迎えました。そんな長い歴史があるにもかかわらず、これまでに定年退職をした社員は、ほんの数人しかいません。

実際、多くの社員がリクルートをキャリアの通過点と位置付けて入社してきます。ただし、入社時点で、全員がどこでも通用するというほど優秀な人材ではありません。私は1985年にリクルートに入社しましたが、同期はごく普通の若者たちばかりでした。その後、彼らはざまざまな業界で活躍しています。

なぜ、普通の若者たちが、「どこでも通用する人材」へと成長できるのか。その秘密が、リクルートの社内を飛び交う数多くの「口ぐせ」にあると私は考えています。実は、社内を飛び交う口ぐせの一つひとつに、ビジネスパーソンとして成長するための「学び」が隠されているのです。

今回は、そんなリクルートに存在する数多くの口ぐせの中から3つをご紹介したいと思います。

ツライ目標を確実に達成するための口ぐせ

リクルートは、目標を達成することに非常に強いこだわりがある会社です。目標とは「できたらいいよね」という願望ではなく、なんとしてでも成し遂げなければならないものでした。そこで、苦しい目標を確実に達成するために、リクルートでは「ある工夫」をしていました。それが、つねに「あと1歩」の状況をつくり出すことです。

たとえば、ある営業チームが月間の売り上げ目標金額を500万円に設定したとします。一般的には、「500万円を達成しよう!」を合い言葉に1カ月間頑張ると思うのですが、リクルートでは違いました。

2週間を過ぎて200万円を売り上げたとしたら「あと2週間で200万円!」、3週間を過ぎて300万円を売り上げたら「あと1週間で100万円!」というように、チームで共有する目標を必ず「残数字」で追いかけていたのです。

「目標金額を目指す」という行為自体は変わらないのですが、人間の心理として、追いかける数字が固定されているよりも、少しずつ減っていったほうが、「目標達成まで、あと1歩! もうひとふんばり頑張ってみよう!」という気持ちに自然となれるものです。ささいなことのようですが、期限が迫り、苦しい状況に置かれているときこそ、「あと1歩」という言葉が大きな力になります。

目標達成できる人とできない人というのは、能力に差があるのではなく、「あと1歩」を乗り越えることに対するこだわりに差があるとリクルートでは考えられていました。リクルート出身者には、“粘り強い人材”が多いとよく言われますが、「あと1歩」の状況を自分で作りだして、高いハードルをうまく乗り越えている人が多いのかもしれません。

自分の仕事の幅を広げる口ぐせ

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「最近どう?」という言葉も社内でよく飛び交っている言葉のひとつでした。これは、世間話をするための単なるあいさつではありません。「今、相手はどんな面白い仕事をしているのか」を確認することが目的だったのです。

たとえば、「自分が採用を手伝っているクライアントがこんな面白い事業に乗り出した」「商品プロモーションで悩んでいる顧客が増えている。そんな顧客群に対して新しいサービス提案を考えている」というように、「最近どう?」という投げかけから、自分がいかに面白い仕事に取り組んでいるかについてお互いに話し合うのです。

何も話せるようなネタがなくて、相手に「こいつは、面白い仕事をしていないんだな」と思われてしまうのは残念なので、自然と「つねに新しいネタを仕込んでおかないといけない」と意識するようになっていました。

そうすると、普段の仕事にも自然と張り合いが出てくるのです。また、お互いの仕事の近況を話し合うことで情報交換にもなりますし、部署を越えた思わぬコラボレーションが生まれることもあります。

このように、リクルート出身者は、「最近どう?」から始まるコミュニケーションによって、自分の仕事の幅を日頃から広げているので、リクルート卒業後、他業界で新しい仕事にもすぐに取り組めるのだと思います。

成長のスピードを加速させる口ぐせ

最後に、仕事で失敗したときに上司から部下にかけられる言葉をご紹介します。リクルートでは、失敗というのは日常茶飯事だったと言っても過言ではありませんでした。

なぜなら、リクルートには「誰もやらないことをする主義」という考え方があり、他社がやらないことを積極的にやろうという文化があったからです。当然、新しいことに取り組めば、失敗する可能性も高くなります。

失敗をすれば上司に叱られるのが一般的ですが、リクルートでは失敗をしても上司や先輩に叱られることはありません。その代わり、「で、おまえはどうするつもりなの?」と必ず問われるのです。失敗をすると、その失敗に引きずられて落ち込んでしまい、次の一手が遅れがちになります。

しかし、リクルートでは、失敗をするたびに上司に「で、おまえはどうするつもりなの?」と繰り返し問われるので、自然と次の対応策を冷静に考える思考が身に付くようになるのです。

こうした経験から、リクルート出身者は、どんな失敗に直面しても「次に自分は何をしなければいけないのか」と思考を切り替えられます。そのため、立ち止まる時間がない分、成長のスピードが早くなるのだと思います。

「口ぐせ」は仕事における発想法であり、チームや組織の思考のくせの表現でもあります。みなさんの職場で使われている「口ぐせ」を洗い出すミーティングをすると新しい発見や仕事改善のヒントがみえるかもしれません。「口ぐせ」を少し変えるだけで、仕事や組織は必ず変化していくはずです。

「仕事を楽しくしたい」「将来に向けて何かを変えたい」と思う人、そんな方たちに、「どこでも通用する人」に変わるリクルートの学びが何らかのヒントになれば嬉しく思います。