総合外国人受け入れ「慎重に」44% 第238回解説 編集委員 木村恭子
人材サービス大手、米マンパワーグループが5月に発表した世界の人材不足に関する調査で、最も不足感が強い国は日本でした。
電子版読者に日ごろの生活のなかで人手不足を実感しているかどうかをお聞きしたところ、「人手不足を感じる」と答えた人は52.8%にのぼり、「人手不足を感じない」の31.1%を大幅に上回りました。

「人手不足を感じる」と答えた読者のコメントから紹介します。少し前に外食チェーン店が人手不足で深夜営業をやめたり、閉店に追い込まれているというニュースがありました。まだ飲食業界では人手不足が解消されていないようです。
「ピーク時に外食で店に行くと人手不足で店が回っていない状況が頻発している。長々と待たされる客も、文句を言われる従業員も、爆発しそうな雰囲気となっている」(47歳、男性)
ただ、人手不足は特定の業界に限ったことではないか――との指摘もありました。
「労働者が偏っていると思う。人気職種にはあふれるほどの人が集まり、不人気な職種には常に不足気味。求人と求職のマッチング機能が働いていない」(52歳、男性)
一方、「人力不足ではなく人材不足」(54歳、男性)とのコメントも多かったです。
「会社で人を募集しても応募が少ない、あるいは応募があっても一定の質をクリアできていないことが目立つようになってきた」(49歳、女性)
「インターン開始直前に時給を倍増するよう申し入れた学生がいた。結局、パフォーマンスが不十分なまま期間半ばで脱落した。人手(数)だけではなく、人材(質)の不足を痛感」(36歳、女性)
優秀な人材がたまたま読者の会社には集まらなかったのかもしれませんが、それにしても、人材不足を挙げたコメントは目立って多かったです。「人手も人材も不足している」のであれば、深刻な問題といえるでしょう。
実は、「人手不足を感じない」と答えた読者からも同様に、この人材不足の問題についての指摘がありました。
「人手不足よりも、仕事に対する技能不足を感じる。接客、仕事に対する姿勢、仕事に対する知識能力など」(52歳、男性)
また、「人手不足を感じない」理由として、退職者や女性など働くことが可能で働く意志があるにもかかわらず仕事がない人がいることを挙げた読者もいました。
「職に就けない女性やまだ働けそうな高齢者、雇用のミスマッチであぶれている若者などがいる」(38歳、男性)
現状では確かに人手が不足している業界が存在しています。ただ、この状態が一部の業界にとどまらず、さまざまな業界にも関わる事態になりうる可能性があります。日本の人口が減っていることで、働き手が確実に不足してしまうからです。
こうした人口減への対策として政府が検討しているのが、外国人を積極的に受け入れて労働力の低下を抑えようという政策です。
読者の皆さんの考えは「外国人の受け入れは慎重にすべきだ」が44.4%でもっとも多かったのです。
「移民政策慎重派」は、これまで移民政策を進めてきた他の国々が抱える問題点を不安に思っています。
「現状のEUにおける移民問題を鑑みるに、長期的には差別や格差による内政問題の拡大をもたらす可能性が高く、好ましいとはいえない」(35歳、男性)
一方、すでに世界に先例があることを利点として考える意見が「積極的な移民政策」を支持する読者から寄せられました。
「移民政策には前例が多くある。対策をよく練れば恐れることはない」(49歳、女性)
「積極的な移民政策」を唱えた読者は14.9%でした。また「高度技能を持つ人材の誘致」の政策を支持する人も36.8%いました。
ただ、「高度技能を持つ人材の誘致」を選んだ読者は単純労働者の受け入れについては否定的です。
「高度な技能を持つ人材及び介護など外国人のマンパワーが必要な業種で知見を有する人材は積極的に受け入れ、優遇すべきだ。単純労働者については、日本の非正規労働者と結託して犯罪の温床となるので、慎重になるべき」(34歳、男性)
実際、高度な技能を持つ外国人の受け入れは進んでいます。医師や家事代行といった技能職に外国人が就くことを認める改正国家戦略特区法が7月に成立しました。
東京圏や関西圏、福岡市、仙台市、愛知県、秋田県仙北市の計9地域が「特区」となり、外国人の活用が拡大されます。たとえば、大病院に限っていた外国人医師の受け入れが、住民に身近な「クリニック」などの診療所でも可能になります。医師不足問題の解決に寄与することが期待されています。
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今回ご協力いただいた読者の皆さんによる安倍内閣の支持率は、前回調査の65.9%よりも2.3ポイント低下して63.6%でした。
ちなみに、日本経済新聞社とテレビ東京が行った8月28~30日の世論調査での内閣支持率は46%でした。支持と不支持が逆転した7月の前回調査から8ポイント上昇し、再び支持率が上回りました。
9月3日の日本経済新聞朝刊「視点・焦点」面では、今回の「クイックVote」のテーマについての専門家の意見および皆さんのコメントを掲載しています。併せてお読みください。