就活長期化でかさむ上京費 採用選考、8月1日解禁

新卒就活長期化でかさむ上京費 採用選考、8月1日解禁

来春卒業予定の学生の採用選考が8月1日、解禁される。経団連が採用スケジュールを昨年より4カ月遅らせた結果、企業が正式に内定を出す時期も遅くなり、就職活動は実質的に長期化。地方の学生は食費を切り詰めたり、専用のシェアハウスを利用したりして、上京するための交通費や宿泊費の工面に苦労している。

就活シェアハウスで面接のアドバイスをし合う学生ら(東京都中野区)
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就活シェアハウスで面接のアドバイスをし合う学生ら(東京都中野区)

午前5時、東京・新宿のビル街に止まった大型バスから、東北大4年の女子学生(22)が降りてきた。志望企業の説明会に参加するため、仙台市から6時間かけて到着した。

24時間営業のファストフード店でエントリーシートを書き上げ、駅のトイレで化粧を済ませると午前10時からの説明会へ。コインロッカー代も節約するため、大きなかばんを抱えて次の説明会に移動する。宿泊先は友人宅。夕食は菓子パンや即席麺で済ませるという。

就活のため、これまでに東京と仙台を十数回往復。「貯金がどんどん減り、親に仕送りを増やしてもらった」。食費を切り詰めすぎて体調を崩したこともあり、「何とかお盆までには志望企業の内定が欲しい」と切実な表情を見せる。

経団連の指針に基づく新スケジュールで面接などの選考開始は4月から8月に繰り下げられたが、指針に縛られない外資系や中小企業などは従来通り。大手もリクルーターや懇談会などの形で春から水面下で学生と接触している。

「内定がもらえるか分からないまま長期間つなぎ留められている学生も多い。就活が間延びする結果になった」(関西大キャリアセンター)

人材サービス会社「ディスコ」の調査では、昨年の学生の就活費用は平均15万1326円。内訳は交通費が約6万9千円と最多で、リクルートスーツ、宿泊費と続いた。交通費と宿泊費の合計は関東地方で約4万7千円、その他の地域は約8万6千~14万円だった。

東京都中野区の「就活シェアハウス」は地方学生向けの宿泊施設。定員8人で、料金は1カ月約4万円。3階建ての1階には共同の台所と居間があり、自由に使える。

福岡市の女子学生(21)は「5月までは夜行バスなどで片道14時間かけて上京し、交通費だけで30万~40万円かかっていた。ホテルより安いので助かる」と話す。

1時間100円で電源を使ったり休憩を取ったりできる自習スペース「就トモCafe」(東京・新宿)は月800人程度が利用。午後9時で閉まるため、長野県上田市の男子学生(26)は「夜はカプセルホテルや友人宅を転々としている」という。

金沢工業大は3月から就活生が東京、大阪、名古屋などに向かう高速バスの運賃を半額ほど補助。6月末までに延べ2千人超が利用した。東京行きは大学前から発着する特別便で、片道2500円で乗れる。

近畿大は昨年4月、学生が説明会などの合間に利用できる事務所を東京駅近くに開設した。学校関係の証明書を受け取れるほか、ロッカーや着替えスペース、仮眠ベッドも用意している。

近畿大の土井良介キャリアセンター課長は「これから本番の学生も多く、事務所はお盆返上。少しでも学生の負担を軽くできれば」と話している。