新卒首都圏の中小、新卒獲得へ奮闘 大手の後ろ倒しで苦戦
首都圏の中小企業が、2016年卒業予定の学生を対象にした採用で苦戦している。大手企業の採用スケジュールが大幅に後ろ倒しになったことに加え、景気回復で採用数を増やす大手が多いためだ。中小は「予定している採用者数を確保できるのか」と危機感を強めている。
「昨年までと比べ、内定者を確保するのにとても苦戦している」。防災関連システム開発のアールシーソリューション(東京・新宿)の栗山章社長は心配げな顔だ。大卒3人を採用する予定だが内定を出したのはまだ2人。本来は7月時点で内定を出し終えたかったが、それでも「同業他社に比べれば善戦しているほう」(栗山社長)という。
従業員16人の同社は緊急地震速報に連動した安否確認メールの開発など、防災というキーワードで学生に業務をアピールする。ただ、会社説明会に参加する学生が少ないのが悩み。昨年は週2~3回だった説明会を週1回に減らして、一回当たりの参加者を確保している。
神奈川県内で中古住宅物件の改修などを手がけるリノベ不動産(横浜市)も、4人を採用する計画だが、現時点で内々定を出しているのは1人だけ。従業員38人の同社は今年の採用活動は例年より遅めの3月に開始したが「採用活動を始めた時点で既に別の会社の内々定が出ている学生も多かった。出遅れた感は否めない」(担当者)と悔やむ。
同社は今年の教訓を生かし来年度以降の採用に向けた対策を始めた。4月から大学2~3年生の3人をインターンシップ生として採用した。仕事を通じて理解を深めてもらい、就職先の有力候補になるのが狙いだ。
予定の採用数を確保するため、内定対象を広げる企業も出てきた。中堅ゼネコンの平山建設(千葉県成田市)は今年、高校生を初めて採用する予定だ。大手ゼネコンが人材確保に積極的だったことなどで、同社は15年春の大学の新卒採用がゼロだった。地元の高校との情報交換を緊密にするほか、新人として入社後は、重機操作などの資格取得を費用面で支援することを約束する。
一方、大手の選考が8月1日に解禁、中小が必要な採用数を確保できないのではという懸念も強まっている。埼玉県が地盤の中堅スーパーは新卒50人を採用する予定。すでに50人以上に内々定を出した。内々定者を集めた懇親会を定期的に開催するなど学生との交流機会を増やし、辞退者を減らしたい考え。ただ例年とスケジュールがかなり異なり大手の内定後に「何人辞退するかは読み切れない」(担当者)と気をもむ。