女性雇用女性500名に聞く「マタハラ」の実態
政府の成長戦略の中にあげられている「女性が輝く日本」。しかし、世界経済フォーラムが毎年発表している「グローバル・ジェンダー・レポート」(2014年度)によると、女性の社会進出度の日本の総合ランキングは142カ国中104位と、先進国の中で非常に低い水準だ。
そんな中、最近では「マタハラ」という言葉とともに、妊娠・出産における女性の働き方が取りざたされ、政府はそれらを防止するための関連法案も国会へ提出が予定されている。保険ショップ『保険クリニック』では、妊娠・出産経験のある20~40歳の女性500名を対象に、妊娠・出産と仕事についてアンケートを実施。またそれを受けて、運営するアイリックコーポレーションの女性社員による座談会と、男性役職者による「1日妊婦疑似体験」を実施した。調査の結果、妊娠・出産経験のある女性の16%が職場でマタハラを経験しており、40歳以下の半数以上は妊娠により退職していたことがわかった。
妊娠中、言われたりされて嬉しかったことがある人の方が多い一方、10%以上の人は、嫌な事を言われたりされたりした経験があることが判明。全体の16%にあたる80人が職場でマタハラを受けており、最も多かったのは「解雇や契約打ち切りの話をされた」で、契約社員や派遣社員に比較的多い回答結果となった。また、妊娠後も、半数以上が8時間以上の勤務を続けており、産休までや妊娠8ヶ月以降も働いていた人が、約62%(313人)を占めた。妊娠後、退職したという人は52%で、産休・育休を利用した人は40%未満に。一度退職した後に仕事に復帰した人は79人で、子どもが2歳7ヶ月~3歳の頃という回答が最多となっている。
■女性社員による座談会の結果は?
勤務先や市町村の制度などの情報は、教えてもらえるものではないので自分で勉強する必要があるというアドバイスが聞かれた。働く妊婦に対する配慮は、男女差よりも、その個人による気づき等が大きいとの意見も。また、40歳以下でも共働き世帯は半数以上と言われているにも関わらず、妊娠による退職者が多いのは、男性の長時間労働等により女性に負担がかかっている事も懸念されるという意見があった。働くママは、保育園の親同士の他にも市町村の子ども向けイベントなどを、交流や情報収集の場として活用している様子も垣間見ることができる。
■調査内容抜粋(一般女性)
Q.言われたり、されて嫌だったこと、嬉しかったことは?
嫌だったことがある 13.2%
嬉しかったことがある 20.6%
何もなかった 66.2%
【嬉しかったこと】
・力仕事や重たい物を持つとき、代わってくれた。
・身体をみんなが気遣ってくれた。
・妊娠してても今までどおりに仕事を与えてくれた。
・みんなが喜んでくれた。
・産後落ち着いたら職場復帰してね!と言われた。
【嫌だったこと】
・退職や契約打ち切りの話をされた。
・妊娠は病気じゃないと言われ、仕事の配慮がなかった。
・妊婦がいるのに周りでたばこを吸うこと。
・休む可能性があるからと、いつもの仕事をさせてもらえない。
・楽よね!子供がいると得だよね!と言われた。
Q.妊娠中に職場で不当な取り扱いや嫌がらせはあった?
何もなかった 420人
解雇や契約打ち切りの話をされた 33人
心無い言葉を言われた 24人
立ち仕事や重労働をさせられた 10人
残業をさせられた 9人
その他 8人
担当業務を変更させられた 6人
降格をさせられた 2人
異動をさせられた 1人
■16%がマタハラ経験者
『マタハラ』とはマタニティハラスメントの略で、働く女性が妊娠・出産などをきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産を理由とした解雇や雇い止め、自主退職の強要で不利益を被ったりするなどの不当な扱いを意味することば。今回のアンケートでは全体の16%にあたる80人がマタハラにあっていたことが分かった。その内の41.3%(33人)が解雇や契約打ち切りの話をされていることも明らかに。これは契約社員や派遣社員に比較的多い回答結果となった。
Q.妊娠中に職場から配慮はあったか?
何もなかった 213人
重労働の免除 146人
病院に行く時間の確保 98人
勤務時間の短縮 78人
残業の免除 60人
立ち仕事の免除 60人
通勤時間の変更 29人
夜勤の免除 14人
その他 8人
在宅勤務へ変更 5人
妊娠中に職場からの配慮があったか聞いたところ42.6%(213人)は「何もなし」だったことが分かった。配慮があった287人の中で多かったのが、1.重労働の免除:50.9%、2.病院に行く時間の確保:34.1%、3.勤務時間の短縮:27.2%となった。
Q.妊娠中にトラブルはあった?
流産しそうになった 40人
流産した 17人
早産しそうになった 60人
早産した 22人
妊娠中毒症になった 25人
その他 20人
なかった 343人
妊娠中にトラブルがあったか聞いたところ、31.4%(157人)に何らかのトラブルがあったことが分かった。その中でも多かったのが「早産しそうになった」の38.2%。そのうち正社員が61.7%を占めた。その他の意見では不正出血や貧血、悪阻などがあげられている。
Q.妊娠後の仕事はどうした?現在妊娠中の人の予定は?
退職した 260人
産休、育休を利用 196人
同じ会社で雇用形態を変えた 20人
その他 14人
転職した 10人
妊娠・出産後の仕事をどうしたのか聞いたところ52%(260人)は退職。産休・育休を利用したのは39.2%(196人)だった。正社員260人の中で産休・育休を利用した人は61.2%(159人)にのぼる。契約社員、派遣社員、パート・アルバイトの人になると、利用できたのは15.4%(37人)のみと言うことが分かった。
Q.出産後の仕事復帰は子どもが何ヶ月の時?
1ヶ月~3ヶ月 42人
4ヶ月~6ヶ月 32人
7ヶ月~9ヶ月 25人
10ヶ月~1歳0ヶ月 53人
1歳1ヶ月~1歳3ヶ月 32人
1歳4ヶ月~1歳6ヶ月 18人
1歳7ヶ月~1歳9ヶ月 9人
1歳10ヶ月~2歳0ヶ月 4人
2歳1ヶ月~2歳6ヶ月 5人
2歳7ヶ月~3歳0ヶ月 26人
その他 14人
育休中、妊娠中 59人
仕事復帰していない 181人
出産後の仕事復帰は子どもが何歳の時だったか調べてみると、最も多かったのは「仕事復帰していない」で36.2%(181人)、続いて育休明け10.6%(53人)、産休明け8.4%(42人)だった。※産休明けは産後8週間、育休明けは子どもが1歳まで(一定の場合は1歳6ヵ月まで)。一度は退職したけど、仕事に復帰した人は79人。その中で一番多かったのは子どもが2歳7ヶ月~3歳だった。
政府の成長戦略の中に、女性の社会復帰を後押しする政策が盛り込まれているが、女性が出産後に仕事復帰するには、まだまだ多くの課題が残されている。子どもの預け先の問題や会社の中での育ママに対する制度や社内の理解、さらには夫やその職場の理解など、子育てと仕事が両立できる社会にするには多くの人の協力がとても大切だ。
※一般女性へのアンケート調査方法
サンプル数 : 女性500名
(妊娠が分かった時の勤務形態)
正社員 52.0%
契約社員 6.8%
派遣社員 8.0%
パート・アルバイト 33.2%
年 齢 : 20歳~40歳
調査方法 : Webアンケート
調査期間 : 2015年6月1日~6月2日