総合リクルートは本当に「働きがいのある会社」なのか?
リクルートといえば、グループ企業全体の売り上げが約1兆1915億円、従業員数が約3万人という巨大企業。多くの新卒者が入社を志望する企業でもあり、“元リク”と呼ばれる同社の出身者たちは転職市場では引く手あまた。著名人も多く輩出している、まさに憧れの企業です。
ただし、その一方で「超実力主義」「仕事が激務」「離職率が高い」といった少々ネガティブなイメージがあるのも事実です。そこで、同社の実情をさまざまな視点で分析した『リクルートの幻想』の著者、常見陽平さん、起業組の“卒業生”であるnanapiの古川健介さん、コラボラボの横田響子さん、スパルタデザインの唐松奈津子さんといった元リク著名人の方々に取材。さらに、現・元リク社員の方々による覆面座談会を行い、内情を赤裸々に語っていただきました。
赤裸々な部分については本誌をご覧いただければと思いますが、正直、取材は一筋縄では行きませんでした。率直な質問をぶつけてみても、ほとんどの人から返ってくるのは、「リクルートはホワイト企業」という答えばかりだったからです。
OB1:当時は毎晩、上司や同僚と飲みながら、どうやったらチームの成績を上げることができるか話し合っていました。
私:毎日飲みに連れて行かれるんですか? 嫌じゃなかったんですか?
OB1:まったく嫌じゃなかったです。むしろ、上司がわざわざ新人の自分に仕事のビジョンを語ってくれるのが嬉しかったですね。
OG1:営業から帰ってくると、毎日、営業成績トップテンのリストがデスクの上に置いてあるんです。優秀な社員の表彰も日常的に行われていました。
私:胃が痛くなりそうですが……?
OG1:すぐ慣れました(笑)。それに、みんな一度は表彰されるものなんです。社員の士気を高めるための仕組みづくりが、上手なんですよね。
私:でも長く働きづらい雰囲気があるのでは? プレッシャーを感じませんか?
OB2:最初から、3年以上勤めようと思って入社している人があまりいません。みんな、「リクルートで働く=起業など自分の夢を叶えるためのステップ」だと考えているんです。新入社員時代に3年は働きたいと言ったら、「そんなに!? お前やる気あるのか?」と逆に先輩に心配されました(笑)。
取材中はこんな感じで、当初の予想とは違うポジティブな意見ばかりが出てくる結果となりました。そして、そこではたと気づいたのです。そもそも取材を受けてくださった方々のスペックが、ケタ外れにすごいことに。
「スカウトで入社したため、履歴書は内定後に提出」「学生時代に起業した会社を高額で売却」「就活生時代、『OB・OG100人訪問』を達成」などなど、どう考えてもみなさんただ者ではありません。
取材を終えて個人的に感じたのは、社風に合った優秀な人材を、ものすごい労力を割いて採用し、彼らに徹底的に「リクルートイズム」を叩き込むことがこの会社の強さなのだということでした。
たとえ、超実力主義の社風でも、不眠不休で働かなくてはならなくても、もともと非常にポテンシャルの高い人材が集まっているおかげで、高い業績を上げつつ、困難をバネにさらに能力を伸ばしていくという構図ができあがっているのでしょう。
私のように怠惰でぼんやりした人間には、入社したくてもリクルートで働くのは無理です。でも、逆に向上心の高い彼らにとっては、定時に帰宅できて、プライベートも確保できるような一般的な「いい会社」は物足りないのかもしれません。つまり、「働きがいのある会社は人によって違う」ということですね。
今月号のクーリエには、さまざまなタイプの「働きがいのある会社」が紹介されています。もし、自分に合う会社を探してみたくなったら、ぜひお手にとってみてください。