就活「大手ありき」に待った、大学が中堅企業紹介の場

新卒就活「大手ありき」に待った、大学が中堅企業紹介の場

「売り手市場」とされる2016年春卒の就職活動は学生の大手志向が例年以上に高まっている。大学側は学生の目が向きにくい企業を集めた説明会を開くなど、知名度や規模を重視した就職先選びに偏らないよう指導に力を入れる。内定を出す大手が増える8月の本番を前に、中小は採用計画通りの内定者数を確保できるか、危機感を募らせている。

「入社3年で所長候補」「勤務地は関東圏内」。今月10日午後、千葉県船橋市で開かれた就活セミナー。県内に本社や事業所がある10の企業・団体が参加し、学生に仕事内容の面白さや働きやすさなどをアピールした。

学生約120人が参加したが、徐々に各ブースの空席が目立つようになった。金融志望の女子学生(21)は「できれば知名度の高い大手に入りたい。志望先も名前を知っているところから選んでいる」と話した。従業員300人規模の商社の男性社員(65)は「どの説明会も例年より参加者数が少ない。どれだけ人材が確保できるか先が読めない。最後は採用実績がある地元の大学のツテを頼るしかない」と嘆く。

大学側も学生の大手志向を不安視する。求人数が増えているのに、自分の特性に合った就職先を見つけられない「ミスマッチ」の解消が課題となっているためだ。

上智大は4~6月に中堅企業約10社の合同説明会を計5回開いたが、学生が集まらずに一旦中断した。大手の選考が終わる9月から再開する予定だが、森田浩一キャリアセンター長は「今年は学生が強気で心配になる。ブランドだけで志望先を選ばないように助言している。まだ大手の結果が出ておらず、中小に目を向けられない面があるのでは」と話す。

明治大は今月17日に「優良中堅企業の探し方」と題したセミナーを開く。経済産業省が選んだ世界で高いシェアを持つ「グローバルニッチトップ企業100選」から、医薬品コーティング装置メーカーなど3社の採用担当者らに仕事内容ややりがいを話してもらう。

就職キャリア支援事務室の担当者は「そろそろエントリーシートの提出などが一段落するだろう。いろんな角度から企業を探せるよう視野を広げてほしい」と語る。

立命館大は卒業生が働く企業約5880社を掲載した冊子を作り、就活中の約7千人に配った。従業員が500人未満の企業が3割ほどを占める。キャリアセンターの松原修次長は「就職が厳しい時期も含め先輩たちが歩んだ道。就職サイトで見つけられないような企業も身近に感じてほしい」と強調する。

東京都も6月から多摩地域の学生らを対象に地元の中小企業を紹介する交流会を始めた。経営者らと一対一で話せるという。東京しごとセンター多摩は「早くから大きな仕事が任せられるなど、大企業にはない魅力を伝えたい」としている。