会計大学院、定員割れ続々 「就職難」の印象なお 15年度、13校中9校

総合会計大学院、定員割れ続々 「就職難」の印象なお 15年度、13校中9校

公認会計士など会計の専門家育成を目的に2005年から始まった「会計専門職大学院」の苦戦が鮮明だ。入学希望者が減っており、15年度は生徒を募る13校中9校が定員割れとなる見通し。早稲田も開設以来初めて定員を割り込む。金融危機後の監査法人の採用縮小で、会計士に就職難のイメージが強く、会計士自体への人気が落ちている。ただ足元では国際会計基準(IFRS)の導入や、M&A(合併・買収)の増加などで会計士の需要は増えており、人気低迷が続けば企業活動にも支障が出かねない。

会計大学院は05年に制度が始まった。修了すると会計士試験の一部科目が免除になる特典がある。現在、全国に16校あり、そのうち今春から立命館など3校が募集を停止した。学校側によると募集する13校でも、秋入学枠も勘案した上で募集人員を確保できる可能性があるのは4校にとどまる。残り9校は定員割れとなる見通しだ。

05年の開設以来、募集人員を確保してきた早稲田も今年度は初めて定員割れとなるのが避けられない。07年度には100人超の入学者がいた関西学院も苦戦が続く。今年度から定員数を100人から70人に減らしたうえで、説明会などで学生の呼び込みを進めたが入学者は40人程度にとどまる見込みだ。

会計大学院の低迷の理由は会計士に対する人気離れだ。金融庁は、監査の質向上などを目指して現在、2万人台の会計士を18年をメドに5万人に増やす目標を掲げている。増員のため06年に受験時の年齢制限の撤廃などを柱にした新制度を導入。07年には4千人超の合格者を出した。

 

主な会計大学院の入学者状況
定員
(人)
今春の
入学者数
(人)
▽定員割れの見通し
早稲田大 100 74
青山学院大 80 40
明治大※ 80 30
関西学院大※ 70 40
関西大 70 36
中央大※ 80 13
兵庫県立大 40 24
東北大※ 40 21
北海道大 20 13
▽定員確保の見通し
千葉商科大※ 70 67
LEC会計大学院※ 60 36
熊本学園大 30 40
大原大学院大 30 31
▽今春から募集を停止
立命館大学
甲南大学
法政大学

※は秋入学制度がある大学。

しかし、金融危機で監査法人が大幅に採用を絞り込んだため、合格者のほぼ半分が「就職浪人」を余儀なくされる年もでてから受験者が急減。合格者も昨年は1102人と新制度移行後では最少だった。

明治大学専門職大学院の吉村孝司会計専門職研究科長は「定員割れは法科大学院よりも深刻。金融危機後の監査法人の採用絞り込みで、合格しても受け皿がなく絶望に浸る学生も多かった。それが今も尾を引いている」と話す。

会計士離れの一方で、監査法人は足元で採用意欲を高めている。景気回復に加え、IFRSの導入、監査基準の厳格化などで、必要な会計士の人数が増えているからだ。

監査法人は今春の採用でも、計画していた人員を確保できないケースが目立った。このまま会計士不足が続けば、会計大学院の運営だけでなく、会計監査をはじめ、活発になっているM&Aなど企業活動にも支障がでかねない。

専門職大学院をめぐっては、04年に始まった法科大学院も苦戦しており、募集停止や廃止が相次いでいる。司法試験合格率の低迷に伴う志願者数の減少でピーク時には74校あったが、これまでに27校が廃止を含めた募集停止を表明している。