中途中途採用「待ち」から「攻め」へ 即戦力に直接アピール 企業、イベントなどで発掘
企業が欲しい人材に直接声をかけて中途採用するダイレクトリクルーティング(DR)が広がってきた。事業展開に不可欠な人材を的確に採用するのが狙いだ。中途採用の競争が激しくなる中、求職者を受動的に待つのではなく、企業自らが積極的に潜在的な候補者の開拓に動き出している。

「必要な人材に直接会い、当社を選んでもらえるように企業の魅力を十分に伝えられる」。DeNAで中途採用を担当する人材開発部の内藤誠人部長は利点を説明する。
DRを行うのは新規事業立ち上げや事業拡大など明確な目的があり、技術や経験といった点でほしい人材の要件がはっきりしている企業だ。求人広告や紹介会社経由では接触しにくい潜在的転職候補者を開拓できるところにメリットがある。
DeNAは2013年からDRを本格化に始めた。各事業部門からの要望を受け、イベントに参加した人材や求人情報サービス会社のデータベースから有望な候補者をリストアップ。メールなどを通じて接触し、直接面会をする。企業風土の良さや仕事の面白さをアピールする。
同社は13年以降、DRを通じてサービス企画担当者ら約80人を採用している。中途採用者に占めるDRの割合は現在3割だが、将来は5割ほどに増やす考えだ。
ホームセンター事業を手がけるセキチュー(群馬県高崎市)は約2年前に開始。ネット通販などを強化するにあたり経験者が必要になった。DRの経験がある室田善弘常務をヘッドハンティングで採用し、過去2年の中途採用者約40人の9割をDRで採用した。
通常の求人広告や人材紹介会社の利用では、「本社が高崎市」というだけで都心の人から関心を持ってもらいにくい。しかし、DRなら地域貢献の理念などを直接訴え、相手の不安も解消できる。今後は年20人程度をDRで採用していく考え。東京や横浜で店舗運営を担う経験者や商品開発担当者の採用を検討している。
採用コストも割安になるケースが多い。人材紹介会社を使うと採用後の年収の2~3割を仲介会社に払う必要がある。一方のDRは、ビズリーチ(東京・渋谷)などが提供するデータサービスの利用料や通信費などに限られる。紹介会社を使う場合に比べて2割以上抑制できる場合もある。
DRが普及しつつある背景には中途採用の競争激化がある。求人サービスのインテリジェンスによると、4月の転職求人倍率は1.26倍の高水準。直近の底である14年7月に比べ0.11ポイント高い。求人数は5カ月連続で最高を更新し、人材確保が難しくなっている。ビズリーチの多田洋祐執行役員は「経営者が積極的に関与することで採用につながりやすい」と指摘する。
ビジネスモデルの転換が早まり、人材登用にもスピードが欠かせない。即戦力を求める企業の間でDR導入が広がれば、人材の流動化が一段と進みそうだ。