新卒売り手市場の中、「自分で見極め」インターン活況――大卒就職率
今春卒業した大学生の就職率が、景気回復などの影響で4年連続で上昇した。就職戦線が「売り手市場」になりつつある中、試験的に企業で働いてもらうインターンシップ(就業体験)を取り入れる企業も増加。過重労働を強いる「ブラック企業」を見極めミスマッチを防ごうと、学生側も積極活用しており、採用する側、される側の相互理解を深める一助となっている。
インターンシップの活用
4月にリクルートキャリア(東京都千代田区)に入社した多田匠さん(24)は大学院1年の夏、同社のインターンシップに参加した。同社の協力企業である海外企業で就業体験をしたり、国内で営業を体験したりする独自のプログラム。ときには採用活動につながることもある従来のインターンシップとは大きく異なる。
ベトナム企業で2週間働いた多田さんは、自分の仕事にまい進するか、チームの雰囲気改善を優先するかを迫られる局面に直面した。「結局、自分の仕事に集中し成果を出したが、働く上で自分が何を大切にするか気付かされた」と振り返る。それまではエンジニア志望だったが、高い壁に当たるとやる気を出し、人との出会いにおもしろさを感じる自身の性格に気付き、リクルートキャリアの入社試験を受けた。
同社がインターンシップを導入したのは2年前。担当の菱川貴仁さん(27)は「働くことを扱う企業だからこそ、学生を成長させる、本当にためになるインターンシップにこだわっている」と話す。
同社就職みらい研究所の岡崎仁美所長によると、インターンシップを導入する企業や参加する学生はここ数年で増加。平成26年度卒では26.9%(前年度比3ポイント増)と4人に1人の学生が体験した。以前は学生に就業体験を提供する社会貢献として行う企業が多かったが、売り手市場となった26年度からは、学生に業界や仕事を理解してもらうことを目的とする企業が増えたという。
自分で仕事内容や企業の雰囲気を見極める
一方の学生側も、内定を獲得するために参加するのはわずか7%。ブラック企業や早期離職が社会問題化するなか、「仕事内容や企業の雰囲気を自分で見極めるため参加する学生が増えている」(岡崎所長)という。
企業と学生の橋渡しをする大学もある。明治大学では受入企業と協定を結び、インターンプログラムを実施している。就職キャリア支援センターによると、参加した学生は24年に720人だったが、25年に860人、26年は1190人に増加。2年で約1.6倍に膨れあがった。
同大が協定を結ぶ企業は大手企業約3割、中小企業が約7割。担当者は「学生によっては1年生から、計4、5社のインターンに参加している。景気が上向くと“大手志向”に傾くとされるが、大手だからではなく、事前に働き方や雰囲気を確かめる意味で収穫は多い」と話している。
