総合エリートの面接、エリートの装い、エリートの集う場所
面接にサスペンダーはありか?
質問者4:私は転職支援の会社にいます。ぜひお二人にお聞きしたいのが、塩野さんとMr. サスペンダーさんは、人を採用するとき、面接官だったら何を一番重要視しますか。人を見抜くためにどんなところをみますか、もしくは質問されますか?
佐々木:面白いですね。最近、面接であきれることが多いとおっしゃっていた塩野さんからいってみましょうか。
塩野:うーん、そうですね。いくつかありますけど、1つは人としての礼儀というか、人として違和感がないかどうか。たとえば、すごく変な時計をしているとか、バランスが悪い感じはイヤだなと思います。
服装も、その人がビル・ゲイツだったらいいんですけど、ビル・ゲイツじゃないんで、バランスはみます。
単なるアルゴリズムだけを書く人を採るなら、バランスが悪くてもいいけれど、ビジネスとビジネスをつなぐようなプロデューサーだったり、コンサルタントみたいな人を採りたいときは、人としてのバランスをみます。外見も含めてですね。
佐々木:サスペンダーとかありですか?
Mr. サスペンダー:それはダメでしょう。
(一同笑)
塩野:だけど、サスペンダー肯定論もあるんですよ。つまり、昔ながらの金融の世界では、すごく派手なネクタイとかサスペンダーをあえてする人は、「こんな格好も許されるぐらいここで権力がある」ということを、ショーオフしているんですよね。
Mr. サスペンダー:そんなこと言われたら、今日の私、どうなるんですか?(笑)
塩野:いやいや、たとえばです(笑)。それと、もう1つ。対応力をみています。つまり、私は面接の時、最初に「自己紹介、自己PRをお願いします」と絶対に言いません。
入ってきて座った瞬間に、「あなたがもしソニーの社長だったら、今から最初にやることは何ですか?」って聞いちゃう。
そういうときの対応をみています。聞くことはそのときによって変わるから、答えそのものは何でもいい。「日本の政府債務の状況で、あなただったら何をします?」とか、「首相と同じエレベータに乗り合わせたら、あなたは何を言いますか?」とか聞いています。
そういうのって、日頃から考えていないと言えないんですよ。毎日、どれくらい好奇心をもって頭を使っているか。そういう人じゃないと、インドネシアの田舎とかに送っても、使いものにならないと思うんですよね。
仕事と関係ない話で、値踏みする
Mr. サスペンダー:(質問者に)私は、答えを用意していますけれど、その前に人材採用のプロとして、何をみて、どんな質問をされていますか?
塩野:質問に質問返し(笑)。
質問者4:私は信頼できる人かどうかだと思っていて。共通してみるのは、そこですね。約束を守る、時間を守る、あとマナーが身に付いているとか、そういう基本的なところがちゃんとできるかどうか。意外とできていない人が多いと思います。
塩野:そうですね。
Mr. サスペンダー:信頼関係が非常に重要だというのはその通りです。でも、それは絶対に必要な条件だけれど、十分条件じゃないですよね。だって、正直で信頼できるけれど、仕事ができない人はいるから。
ポジションによってみるポイントは違うと思いますね。たとえば、オペレーショナルな、部下的な仕事をやってもらう人に対して私が聞くのは、「かばんの中、みせてくれる?」です。かばんの中がきれいな人っていうのは、たいてい財布の中もきれいだし、机の中もきれいだし、本棚もきれいだし、仕事の資料とかもムダがない。
逆に言うと、私の財布の中はむっちゃ汚いから。私はこれをなんとかしてくれる人が必要なわけですよね。それなのに、私の部下まで財布とかばんの中がごちゃごちゃで、プリント探すのに、いつも2〜3時間かけているようでは仕事にならないでしょう。だから、そういうところを聞くと。
逆にトップ営業、もしくは上司みたいな人を面接するときは、雑談です。「で、どないですか?」というような曖昧な質問に対して、どういったことを言うか、ですね。本当にその場の空気を読んで、自分に求められていることを読んで、もろもろのジャッジメントをする。
相手のタイプを見極めて、気の利いたことを言わなくちゃいけないわけじゃないですか。そういったところに、かなりの能力が出てくると思いますね。
特に大物になればなるほど、何かの仕事を「一緒にやりましょう」みたいなときも、ビジネスプランの詳細とかそんな話はまったくしなくて、単に美術や歴史、文化の話をしたり。ホントにもう、それはそれは優雅なもんですよ。
その話が終わって、「あっ、もうこの人は信頼できる。じゃあ、これ」で、何十億ボーン。そういった突き抜けた世界になると、仕事とまったく関係ない会話で、相手の値踏みをするっていうことを、目の当たりにしたことがあります。
その私が尊敬する人が私に言うのが、「他人の土俵で相撲をとれる人になれ」と。つまり、つまんない人っていうのは、自分の仕事の話はイキイキとして話すんだけれども、相手の興味に合わせた会話ができない。
塩野:イタい人ですよね。
Mr. サスペンダー:だから自分の得意分野から離れても、それなりの対応ができて、相手のいいところを引き出して、ほかの人の話も引き出して、勉強になることが多いよね、みたいな人。他人の土俵で相撲がとれる、ってそういうことかなと思います。
塩野:そういうふうになりたいですね。
Mr. サスペンダー:そういう人を目指して、われわれは日々頑張っている。佐々木編集長にヨイショを一発くらわすと、話題の引き出しを増やすために、いつもNewsPicksを読んでいる。
塩野:NewsPicksから『SPA!』まで読んでますよ。
佐々木:ありがとうございます。じゃあ。最後。後ろの方どうぞ。
エリートはどこに集うか?
質問者5:ネットワークの大事さが何度か話題になったと思うんですけれども、私は「場をつくる仕事」をしていまして、エリートの人がどういうところに集まっているのか、興味があるんです。
日本ではこういうところに集まる傾向があるとか、海外だとこういうところだとか、こういうコミュニティがあれば人が集まるのに、みたいなことはありますか?
Mr. サスペンダー:なんだか悪いことに利用されそうな、嫌な予感がします(笑)。で、エリートの集まる場所を知って、いったい何をするんですか?
質問者5:集まる場所をつくりたい。
Mr. サスペンダー:…集めた後、どうするんですか?
質問者5:お金をいただこう、と。
塩野:そうですね。質問のご趣旨を完全に理解できているかどうかわからないんですが、よく「あなたの近しい友達を5人挙げてください。あなたがどういう人か当ててみせましょう」という言い方をしますよね。
ですから、エリートを中心に据えればそこから同じようなエリートが集まるでしょう。「どういう人がエリートか」という定義の問題もありますけど。
人間は、同じレベルの人が集まってしまうものですよね。どこまでいっても、ある意味では、同じようなレベルの人しか集まらない。ですから、そういう場をつくりたいのであれば、ご自身の思う「この人こそがエリートだ」という人を配置すれば、その周りにどんどん同じような人が集まると思います。
最近あまり聞きませんが、「富裕層ビジネス」を始めたいという人が一時期多かったんですよ。でも、その人自身が富裕層ではないので、富裕層がなかなか集まらないという根本的な問題がありました。
これは寓話(ぐうわ)になるくらい面白いことだと思います(笑)。エリートをたくさん集めたいのであれば、よいエリートだと思う方を真ん中に置いて、ドーナツができるのがいいと思います。
Mr. サスペンダー:まぁ、「そのビジネスはやめなはれ」というのが私のファーストラインです。というのは、いわゆるエリートコミュニティはいくらでもあるし、そういった人たちはインフォーマルで密接な人間関係をつくります。
「今回この人を紹介しますよ、次回よろしくね」みたいに。それは会社のアルムナイというかたちでもあるし、大学のアルムナイでもある、大学院でもある。それがグローバルにある。
それに加えて、今は「LinkedIn」もあれば「Facebook」もある。そういうコミュニティって、電話を2回くらいかけたら、世界中のどこのインダストリーにもそれなりにたどり着くことが多いです。それに加えて、そういったコミュニティのインダストリーごとのカンファレンスも、いくらでもあるんですね。
だから、冒頭に申し上げた「やめなはれ」が答えなんです。
ただ、成功している人もいます。そういったコミュニティビジネスで成功している人たちの共通の特徴は、その人がものすごく信頼されているということ。「あぁ、おまえが主催するんだったら、行こうか」「おまえが紹介する人なら話を聞こうか」と思ってもらえることです。
いわゆるエリート層には、ものすごい数のお誘いがくるので、(私のところには一切お誘いは来ませんが)、人集めのダシにされることに、へきえきとしている人がすごく多い。
そんな中で、「主催者がこの人ならクオリティは担保されているだろう」「信頼できる人だろう」と思われる。そういう人になることが、一番重要だと思います。
周りから尊敬される人になって初めて、周りにもそういう人が集まる。「あなたは信頼されていないから、やめなはれ」という意味じゃないですよ(笑)。第一に目指すべきは、そこではないかという気がします。
佐々木:ということで、今日はありがとうございました。これからMr. サスペンダーさんもNewsPicksでどんどんコメントしてくださいます。
Mr. サスペンダー:いえ、もうあまりしないです。
佐々木:いや、お願いしますよ。塩野さんの新刊も発売になりましたし、皆さん、口コミでどんどん広めていただければと思います。今日は長い間ありがとうございました。お二人に盛大な拍手を!