総合多様な人材を育成するダイバーシティの方向性
数年前、ダイバーシティマネージメントが大手企業を中心に導入された。ダイバーシティは異なるキャリアや経歴をもつ人材採用のことを指すことが多い。当初は、性別、年齢、学歴など、見えやすい部分の属性と考えられていたが、その後は見えやすい部分だけではなく、素養、価値観、性格など見え難い部分にもフォーカスされるようになった。
●今後のダイバーシティに必要な要素とは?
NFIリサーチ・レビュー2014 年6 月(米国におけるダイバーシティ先進企業ランキング2014 年版)によれば、世界的経済不況などの後には、新たなダイバーシティの枠組みが形成されていることが理解できる。例えば、本ランキングインしている企業は、コンサルティング会社、製薬会社などの人材の多様化を促進するグローバル企業が多い。むしろ、リーマン・ショック以降は、ダイバーシティが企業経営において根幹になっていることが観察できる。
経営コンサルタントの中山マコト氏は、新たなダイバーシティの有り方として今後注目されるのは、アントレプレナー型(起業家)であると主張する。
—リーマン・ショック以降、様々なスタイルのダイバーシティが指向されているように思います。
中山 企業経営にとって成長志向の強い社員の存在はマネジメントに大きな影響を与えます。経営危機に陥ると多くの社員は攻めに転じることができません。自ら事業を構想して実現のために推進していくことは実際には簡単ではないのです。だから経営として社内起業家を養成していく体制の構築が必要です。企業には各企業の置かれた状況に応じた人材開発が必要です。特に中小零細企業は景気の動向を受けやすいため、売上減少、資金繰り悪化、リストラなど、想定されるリスクに対応するためには攻めに強い人材の育成が必要です。
—育成のポイントがあれば教えてください。
中山 企業が周到にプログラムを用意してそれを無理やりに受講させるようなスタイルは推奨しません。企業は組織とルール、つまりアントレプレナー型(起業家)を養成する箱のみを用意する。箱のみを用意して、あとの起業スタイルは個の意思を尊重するのです。起業のスタイルも個人次第。やりたい起業の方向性を後押しするイメージです。
ローマは1日にしてならず。ローマ帝国も、築くまでには約700年もの歳月を費やした歴史が存在します。人材開発には長期的視野を持つことが大切ですが必要以上の時間を掛けられない企業側の事情も存在します。経営の状況を鑑みながらその辺りのバランスを取ることも大切でしょう。