総合SCSK、残業手当を高めに一律支給 「しない人」も対象
システム開発大手のSCSKは残業手当の支給額を一律にして、残業時間を短くした人の方が得をする人事制度を7月に導入する。全従業員の8割に当たる非管理職の6110人が対象で、残業代目当ての仕事をなくし、生産性を高める狙いだ。多くの企業が取り組む長時間労働の是正策は「ノー残業デー」などにとどまり、賃金制度を見直すのは珍しい。
総人件費は現状よりも増える可能性はあるが、従業員の労働時間を短くする姿勢を鮮明にして、優秀な人材の確保などにつなげる。
入社7年以上の中堅社員には裁量労働制を適用し、月給に34時間分の残業手当を一律で上乗せする。残業時間がゼロならば、34時間分の手当を余分に受け取れる。反対に50時間の残業をすると16時間分の手当は得られずに損をする仕組みだ。
入社7年未満の若手社員には20時間分の残業手当を上乗せする。残業ゼロなら17%の給与増になる計算だ。20時間を超えると上乗せがなくなり、時間通りの支給となる。
SCSKは以前は深夜の残業などが多く、2012年度の平均残業時間は月26時間だった。13年度には残業を減らした職場は翌夏のボーナスを上乗せする制度を導入し、14年度の平均残業時間を月18時間に減らした。
7月からはボーナス支給を毎月の手当に切り替える。残業をしない方が得をする効果を従業員が実感しやすくなり、残業時間の抑制効果が高まるとみている。
労働人口が減少するなか、生産性の向上は重要な課題だ。最近では長時間労働の解消に取り組む企業が増えている。
ラベルプリンターのサトーホールディングスはコアタイムを設けない「完全フレックスタイム制」を始めた。月の所定労働時間を守れば、1日に働く時間を午前6時~午後8時の間で自分で設定できる。午後8時以降の残業は原則禁止し、必要な場合は早朝勤務を奨励する。導入後の昨年12月の総残業時間は例年に比べて3割減った。
パナソニックの住宅関連部門では仕事のやり方を見直して効率化を目指す「シゴトダイエット」を実施。従業員同士で効率的なメールや会議、出張などの方法を話し合い、社内で共有している。
政府は働いた時間ではなく成果に応じて賃金を払う「高度プロフェッショナル制度」の導入を目指している。対象は年収1075万円以上の専門職だが、将来は対象者が広がる可能性がある。残業代がなくなれば手取りが減り、長時間労働の歯止めが利かなくなるなどの指摘があるが、SCSKの新制度はこれらの問題点の解決につながる。