正社員化で人材囲い込み 小売りなど、地域限定を活用 新規求人、8年ぶり高水準

総合正社員化で人材囲い込み 小売りなど、地域限定を活用 新規求人、8年ぶり高水準

企業が正社員を増やし始めている。若い世代が減り、人材を囲い込む必要が出てきたためだ。小売業やサービス業を中心に待遇の良い正社員を増やす動きがあり、2014年12月は企業による正社員の求人が約8年ぶりの多さになった。パートなど非正規労働者から正社員に変わる人が増えて賃金水準が底上げされれば、景気を支える要因になりそうだ。

画像の拡大

 

昨年12月の完全失業率は3.4%と17年4カ月ぶりに低い水準。仕事を選ばなければ誰もが働ける「完全雇用」に近い。働き手の中心である15~64歳は14年末に7756万人と前年に比べて117万人も減り、今後も減り続ける見通しだ。

こうした状況に企業は人材難への危機感を強めている。無期雇用で昇給制度もある正社員を増やせば人件費は増えかねないが、地域や勤務時間を限る限定正社員(総合経済面きょうのことば)の仕組みなども使い、人材の確保を急いでいる。

厚生労働省の統計によると、企業が昨年12月に新たに出した正社員の求人は季節要因をならして約35万人。7年10カ月ぶりの多さだ。常用雇用で見ると、専門・技術職の求人は新たに職を求めた人の3倍以上。サービス業も求職者1人を3社近くが奪い合っている状況で採用競争は激しい。

このためすでに非正規で働いている人を正社員にする企業が目立つ。東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは821人の契約社員のうち、16年度からは希望する人すべてを正社員に登用する計画だ。高度なショーを運営するノウハウを持つ人に働き続けてもらうようにする。

育児などと両立しやすい仕組みで人材をつなぎとめようとする企業も多い。カジュアル衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、地域を限って短時間勤務を認める正社員制度を導入した。長時間働けない人も良い処遇を目指すことができる。将来は1万6千人をこの制度で雇う計画だ。

15~64歳の女性の就業率は64.4%と男性よりも17.2ポイント低い。育児などを理由にした離職が減れば、人口減に伴う労働力の目減りを補うことにつながる。企業も高い時給で新たなパートを雇って育てるよりも、経験を積んだ人材を定着させるほうが効率が良い。

65歳までの継続雇用を義務付けた影響もあり、雇用者に占める非正規労働者の割合は14年12月に38.0%と過去2番目に高い。ただ賞与や昇給が少なく、雇用期間に限りがあることも多い非正規から正規に移る流れが強まれば、雇用者全体の賃金底上げが期待できる。