外国人介護人材 実習生に頼るのは疑問だ

総合外国人介護人材 実習生に頼るのは疑問だ

介護現場で働く労働力の確保策として厚生労働省は、外国人技能実習制度の対象職種に介護分野を加える方針を固めた。2016年度中の実施を目指すという。

介護職の人材難は分かるが、外国人実習生で乗り切るのは疑問がある。実習制度の趣旨にそぐわず、介護職の待遇改善も妨げかねない。慎重な検討を求めたい。

介護現場は仕事の割に賃金が低いなどとして人手不足が慢性化している。将来はさらに深刻だ。厚労省は、団塊の世代が75歳以上になる25年度には全国で約30万人も不足すると試算している。

多様化する介護ニーズに対応するためにも、人材の確保は確かに急務といえるだろう。

ただ、実習制度は途上国の労働者が一定期間働いて習得した技術を母国の発展に役立てるのが狙いだ。製造業や農林漁業などの分野で現在、計約15万人を受け入れているものの、国内の労働力不足を補うのは本来の目的ではない。

劣悪な環境での酷使や低賃金の長時間労働など、トラブルも絶えない。運用改善が遅れる中でいたずらに対象を広げれば、悪条件下で安価な労働力として当てにされる外国人を増やしかねない。

介護のような対人サービスの職種では、日本語の能力もより重要となる。厚労省は、従来の実習生には課していなかった一定の日本語能力を要件に設定して「専門用語や方言も一定程度理解できるように研修すべきだ」としている。

見通しが甘いのではないか。

介護分野では現在も、経済連携協定(EPA)に基づきフィリピンなど3カ国から「介護福祉士候補者」を受け入れている。だが、日本語の習得などがネックとなり、14年度までの受け入れ数は約1500人にとどまっている。

介護職は年収が低く、離職率は高い。優先すべきは待遇を改善して介護の資格や経験を持つ潜在労働力の活用に努めることだ。外国人の介護人材がどうしても必要なら、労働力としてどう位置付けるかをしっかり議論すべきであり、実習生に頼るのは安易にすぎる。